過去の記憶

□第2章
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私は歩けないチェジュンを抱いて、森の洞窟に来た。

私は戸惑いながら、1歩1歩と洞窟の中に入っていく。

洞窟の中は小石の山の墓だらけだった。
この墓は私が出ていく前に作ったもの。
洞窟の中はあの日のまま、時が止まっていた。

私はそれを見て、悲しみが込み上げてきて、涙を流す。

チェジュンはそんな私を見て、頬をペチペチと叩き、不思議そうに私の顔を見てきた後、キャッキャッと笑う。

私はチェジュンを連れて、パクさんと5歳ぐらいの女の子の墓に行く。

「貴方の本当のお母さんはね・・・」
私は何も知らないチェジュンに本当の母親を語る。

『記憶のどこかでもいい。
覚えていて欲しい』
私はそんな思いから、本当の事を話す。

私は一頻り語ると、胸の中にあったものが無くなり、スッキリしたのだった。


そして、月日は流れ、チェジュンが歩ける様になったある日・・・

1人の青年が帰ってきた。

「ただいま!
誰もいないのか?
おかしいな・・・」
そんな声がリビングから聞こえて、私は慌てて、リビングに向かう。

リビングにはチェジュンと座って、遊んでいる海兵服を着た青年がいた。

私はチェジュンを守る様にチェジュンを私の後ろに隠す。

「あっ・・・」
青年は名残惜しかったのだろう、手が持ち上がっていた。

「お前、誰だ?
母さん達はどうした?」
青年は私を見上げながら、聞いてくる。

「私はシン・チェギョンです。
ミンさんとヒョンさんでしたら、畑に行きました。
チェジュンが小さいので、私が留守番をする事に・・・」
私はビクビクしながら、質問に答える。

「ふぅん。
俺はイ・シンだ!」
自己紹介されて、夫婦の息子である事にホッとした。

「あっ、2人から聞いてます」
私はチェジュンを隠す事はしない。

「チェギョンだっけ?
どう見ても、俺と同じ歳のようだし、そんな堅苦しいの止めないか?」
気さくに話すシンさんに私は俯いてしまう。

「シン君って呼んでもいい?」
私はシンさんに聞いた。

「シン君っか、俺、近所からそう呼ばれた事なかったんだよね」
シン君は、はにかみながら笑う。

「ごめんなさい!」
私は思わず謝る。

「いいよ。
俺もそう呼んで欲しいから」
シン君は私の前髪をイジる。

私はシン君にお腹の空きぐわいを聞き、料理の残り物を出す為、キッチンに向かう。
 
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