もうひとつの物語

□昼寝
1ページ/4ページ


シンの公務は日に日に、忙しくなり、2、3時間の睡眠しか、取れていなかった。

「殿下・・・恐縮ながら、今日はご欠席されては?」
コン内官は、シンを心配して、提案する。

「そういう訳にはいかない。それに今日の授業は興味がある内容なんだ」
シンはコン内官の提案を拒否し、制服に着替え、東宮の中庭にあるベンチに座り、チェギョンを待った。


その頃、チェギョンは・・・

コンコンとシンの部屋に直接通じる扉がノックされた。

「はい?」
チェギョンは使わない扉がノックされ、疑問に思ったが返事をした。

「チェギョン様、少しよろしいでしょうか?」
コン内官が扉の向こう側でチェギョンに呼びかけた。

「コン内官おじさん?」
チェギョンはビックリしたが、コン内官を部屋に入れる。

「珍しいですね。コン内官おじさんが私の部屋を訪れるなんて・・・シン君に何かありましたか?」
チェギョンはコン内官の様子を見た。
コン内官がチェギョンの部屋に訪れる理由は、1つしかない。
シンの事である。

「はい。チェギョン様・・・昨夜も、夜遅くまで、公務をされ、満足いく睡眠をされておりません・・・」
コン内官は申し訳なさそうにチェギョンに話す。

「陛下がお倒れになって、全てを引き受けていましたね?」
チェギョンはコン内官に聞く。

数日前、執務中に皇帝(ヒョン)が、持病の悪化が原因で倒れたのだ。

「はい。その通りです」
コン内官は答える。

「ユルを宮に戻す事は可能なのでしょうか?」
チェギョンはコン内官に聞く。

「私の一存では・・・」
コン内官はチェギョンの言っている事は、分かっている。
だが、越えられない垣根があった。

「そうですよね。分かりました。私が何とかします」
チェギョンはコン内官に言う。

「よろしくお願いします」
コン内官は入って来た扉から出て行く。

「まったくもぉ〜」
チェギョンは腰に手を当てて、シンを言いくるめる方法を模索した。

そして、チェギョンはシンが待つ中庭に出て行く。
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ