もうひとつの物語
□友達
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シンはチェギョンとユルの関係を知り、東宮で話す事が多くなった。
「そういえば、姉上の学科は?」
ユルも王立の学校に編入する為、チェギョンに聞いたのだ。
「美術科のデザイン専科よ。それがどうしたの?」
チェギョンはユルが何をしようとしているか、分からなかった。
「おい、ユル。したい事とか、あるだろう?」
シンはユルが何をしようとしているのか、分かったようだった。
「姉上と同じ、美術は好きなんだよね。イギリスじゃあ、叶わなかったからね。それに、シンは映画科だろう?それなら、学校の時だけ、姉上を護ろうと思うんだ」
ユルはシンに笑って見せた。
そして、ユルは美術科を選び、提出する。
翌日、ユルはシンとチェギョンの後を追うように歩く。
そして、シンとチェギョンはいつものように別れる。
「いつも、シンに送って貰ってるの?あ・・・チェギョン」
ユルは癖で、“姉上”と言いそうになった。
「ユル君・・・ダメでしょう!」
チェギョンはユルの鼻先をチョンと人差し指で触れる。
そして、チェギョンは教室に入る。
「そうだったね。姉上」
ユルはチェギョンが触れた鼻に触り、誰にも聞こえないように答えて、チェギョンの背中を見つめた。
「ちょっと、チェギョン!あの人、誰よ!」
ヒスンがチェギョンに語りかける。
「あぁ、ユル君よ。昨日、話してたでしょう?シン君の従兄弟よ」
チェギョンはユルを呼び寄せる。
「すごく、親しそうだったけど、貴女の皇子様は許してくれたの?」
ガンヒョンが嫌みそうに、チェギョンに話す。
「ふ〜ん。シンがチェギョンの皇子様なら、僕は騎士【ナイト】だよ。シンには、許可貰ってるよ」
ユルは不敵の笑みを見せた。
「皇子から許可を貰った?!」
ヒスンとスニョンがハモった。
「やっぱり、美術科にしていて、正解だったみたいだね。チェギョン」
ユルはチェギョンの髪をいじる。
ユルの幼い頃からの癖で、姉であるチェギョンの髪をいじりながら、話すのである。
ガンヒョンはチェギョンとユルの関係に疑問を感じるのだった。