もうひとつの物語

□姉弟
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“姉上!”
“イヤだ。僕は姉上といる!”

韓国から、遠く離れたイギリスで、同じ夢を見て、起きてしまう少年がいた。

胸には、王冠の形に真ん中に青色の宝石がキラリと光っていた。

王族会の陰謀で離れて暮らしていた、チェギョンの双子の弟、ユルである。

「まただ・・・」
名まえも、顔も分からない事に、ユルは顔を手で覆い、落ち込む。

「ユル様?起きていらしゃいますか?」
宮に仕える尚宮が部屋の外で声をかける。

「うん、起きているよ」
ユルは尚宮に入室の許可を出した。

「今日も、お早い起床で・・・」
尚宮がユルにお茶を出す。

「えぇ。また、夢を見ました」
ユルは幼い頃の夢を尚宮に打ち明ける。

「仲のいい、ご姉弟でいらっしゃいました」
この尚宮は、ユルが幼い頃から、仕える尚宮であった。

だが、それ以外は喋ろうとはしなかった。

「シン様から、お手紙が届いていました」
尚宮はシンの手紙をユルに渡し、退室した。

それを見届けた後、ユルはシンの手紙を読む。

『ユル。元気か?
少し報告したい事があってな。
手紙で悪いな』
シンの手紙は、そんな一文から、始まっていた。

「悪いと思うなら、メールにしろよ」
ユルはシンの手紙に向かって、言った。

『俺、結婚する事になった・・・』
シンの手紙は、唐突に始まっていた。

「なんだって!」
あまりにも、ユルの声が大声だった為、尚宮が慌てて、部屋に入ってきた。

「すまない。気にするな・・・」
ユルの一言で尚宮は、怒って、出ていた。

『写真も入れてある。
よかったら、見てくれ・・・』
シンの文章を読んだ後、封筒の中を確認する。

「最後は惚気か・・・」
ユルは本人がいない事をいいように、シンに向かい、ニヤニヤしていた。

封筒には、手紙に書いてある様に写真が入っていた。

写真に映っていたのは、仲睦まじい、シンとチェギョンがあった。

写真に映っていたチェギョンの胸には、王冠の形にピンク色の宝石が付いたペンダントと指輪があった。

「あ、姉上?」
そして、ユルはチェギョンを見て、姉を思い出したのだった。

「やっと・・・逢えたね。姉上」
ユルは一筋の涙を流したのだった。

そして、ユルは宮に帰る為に支度をする。

『帰って来い。ユル』
シンの手紙の最後の一文はそう書かれていた。


★後書き★

シンの手紙に、ユルの一言を折り込んでみました。

番外編じゃないの?
って、思う人がいると思いますが、次の章に続いているので、よろしくお願いします。

では・・・逃走

2012.05.17
 

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