もうひとつの物語
□許婚
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今日は、シンとチェギョンの休みであるが、シンには公務が入っていた。
朝の挨拶をシンはチェギョンと、一緒に行った後、コン内官から、今日のスケジュールを聞いた後、執務室で公務の仕事をする。
その間、チェギョンは、シンの邪魔にならない様に、スケッチをしたり、読書をしたり、勉強をしたりしていた。
それが、シンとチェギョンの休みの過ごし方なのである。
シンは、キリがいい所でペンを止め、執務室から出る。
それを見計らった様に、昼食が運ばれてくる。
「疲れてない?シン君」
昼食を食べ終わった後に、必ず、チェギョンは聞いてくる。
『最初は、突っかかっていたが、今では、チェギョンに聞かれないのが、寂しく思うんだよな・・・』
シンは思いながら、チェギョンの髪を手で梳く。
「あぁ・・・大丈夫だ」
シンは、チェギョンの髪を手で梳きながら、チェギョンに笑顔を見せる。
少し、不機嫌になったかと思えば、チェギョンは笑顔を見せる。
本当は寝不足で、チェギョンに心配をかけたくなくて、シンは笑顔で答えたのだ。
それを、チェギョンが気付き、不機嫌になったのだ。
だが、シンの性格を知っている、チェギョンは、何も言わずに、笑顔を見せる。
それが、シンとチェギョンの間では、暗黙ルールになっていた。
シンは、少し休んだ後、執務室で、続きをする。
「チェギョン様。皇太后様、皇后様がお呼びです」
チェ尚宮が、東宮の中庭にいたチェギョンに声をかける。
チェ尚宮は、チェギョンのお世話係り兼妃宮(ピグン)としての教育係りである。
チェギョンが宮にいる間、チェ尚宮を始め、パン女官とチョン女官が、側にいる。
「えっ?皇太后様と皇后様が・・・?でも、シン君が・・・」
チェギョンがシンの心配をする。
その訳は、チェギョンが宮殿の中で、散歩した時、その日は、何も言わずに、東宮を出てしまったのだ。
シンはチェギョンがいない事に気付き、捜しまくり、怒られたのは、チェギョンの出来事で、新しかった。
だから、チェギョンは躊躇したのだ。
「私から、お伝え申し上げます。ですので、チェギョン様は・・・」
チェ尚宮はチェギョンを促し、皇太后と皇后が待つ部屋に行かせる。
「チェ尚宮お姉さん、お願いね」
チェギョンはチェ尚宮に託し、東宮から、出た後、皇太后と皇后が待つ部屋へと向かうのだった。