もうひとつの物語

□幼馴染
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あの誕生日から、数年後・・・


シンは韓国一の人気者になり、チェギョンはシンと対等に話せる女の子として、人気者になっていた。

やはり、警護の為、シンは宮から学校まで、車を使っていた。

シンを乗せた車は、チェギョンが住む家の前で止まり、チェギョンが出てくるのを待っていた。

「おはよう!シン君」
チェギョンは少し躊躇したが、車に乗り込み、シンに挨拶をする。

「おはよう。チェギョン」
シンはチェギョンに挨拶をして、車を出すようにと、運転手に指示を出す。

「いつも、いいのにって、言ってるでしょう?」
チェギョンはシンを見る。

「好きで迎えに来てるんだ。諦めろよな」
シンはさらりと言い返す。

そんな事を言うものだから、チェギョンはシンに、何も言えなくなってしまう。

黙り込んだチェギョンに、シンは片方のイヤホンをチェギョンの耳に入れる。
その動作は慣れた感じだった。

「この曲、好き!」
チェギョンはイヤホンから流れてくる曲に反応する。

チェギョンの太陽の様な笑顔に、シンは微笑む。

「そうか。俺もこの曲が好きだ」
シンはチェギョンの手に手を重ねる。

そして、車は学校に到着し、シンはCDプレーヤーを停止させ、鞄に入れる。

先にシンが車から降り、シンは車を回り込み、ドアを開け、手を差し伸べる。

チェギョンは驚きもせず、シンの手に手を重ねて、車から降りる。

いつもの光景だが、女の子達は溜め息をつく。

この学校は、王立の学校だが、一般の生徒も通っていた。

シンは映画学科であるが、チェギョンは美術学科である為、いつも、美術学科に寄る。

シンとチェギョンは幼馴染で、一緒に育った為、離れる事はあまりなかった。

高校に通うようになり、別々の道を進んでいるが、共通する事は多かった。

シンは写真が趣味で、チェギョンは絵を描く事が趣味だった。

そして、シンはチェギョンの美術学科へと見送る前に必ず、髪に触れ、髪にキスをする。

誰もが、シンとチェギョンの間に入れる余地はなかった。
 
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