過去の記憶

□最終章
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チェジュンは立派な青年になっていた。

「やっぱり、僕って、母さん達に似てないよな〜」
チェジュンは鏡の前で呟いていた。

『本当の事を話してもいいかな?』
私はチェジュンの後ろ姿を見て思うのだった。

「貴方の瞳は本当の母親であるパクさんに似ているわ」
私はチェジュンの前に座り、チェジュンの頬を撫でる。

「えっ?何、言ってんだよ?」
チェジュンは私の顔を見てきた。

「本当の事を話すから、ね?」
私はチェジュンを立たせる。

「チェギョン、俺も一緒に行っていいか?」
シン君は私に聞いてきた。
私が頷いたのを見て、シン君は私の行動に子ども達をヒョンさんとミンさんに預ける。


私達は森の洞窟へと向かう。

「母さん、何処に行くの?」
チェジュンは私の手を握ってくる。
小さな子が駄々をごねる様な握り方だった。

シン君はそんな様子のチェジュンを怒らなかった。

「ココで私は貴方を託されたの・・・」
私は洞窟の入口に着き、チェジュンに話す。

「何、言ってるんだよ?母さん」
チェジュンは驚いた顔をして、私を見てきた。
まだ、受け入れられないと云った感じだった。

私は迷う事なく、洞窟の中に入る。
ココには毎年来ていた。
だから、抵抗はもうなかった。

チェジュンとシン君は慌てて、私の後を付いて来る。

「ココで私達は敵兵から見つからない様に息を潜めて、堪えていた。
だけど、ココで5歳ぐらいの子ども達が煩いと云う理由だけで陸軍の兵士達が液体を飲ませて、殺した。
母親達は声を殺して泣いたわ。
そして、敵兵に洞窟が見つかるのも時間の問題だった。
予め渡されていた液体を飲もうとした時、チェジュン、貴方のお母さんが助けてくれたの・・・」
私はココに着いて、倒れたのを看病をしてくれたのもチェジュンのお母さんである事を話す。

幾つかの墓を私達は通り過ぎ、洞窟の奥へと向かう。

私は迷う事なく、1つの墓の前に花を供える。

「貴方のお姉ちゃんとお母さんのお墓よ・・・
子ども達の中に貴方のお姉ちゃんもいたの・・・」
私はチェジュンに本当の話をする。

チェジュンはその場に崩れる。

無理もない、聞きたくもない話を私から聞いたのだから。
 
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