貰贈扉

□成り行きなんかじゃない
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誰にでもへらへら笑う風を最初は、
変なやつとしか思っていなかった。



「リボーン、またそんなに血を浴びて帰ってきて……。ルーチェが心配しますよ?」


アルコバレーノ全員が集まる場所。
任務が終わり帰ってきた俺に
一番に駆けつけ心配してくれたのは風だった。

怪我をしている訳でなく、相手の返り血だというのはここにいる全員が分かる。
もちろん、風も。


最初の頃は、単なるお節介にしか聞こえなかった風の行動や言葉も今となっては、無くては物足りないものである。



「心配なんかすんじゃねぇ。お前も分かってんだろ、これは返り血だ。ルーチェだってこんなことで、驚かねぇさ。」


「そうですか?……貴方がそう言うのならば、そうかもしれませんね。優しいんですね、リボーンは 」



(どっちがだ)



言葉には出さず、リボーンは咳払いを一つし、踵を返す。
きっと、心の内ではあんなことを思っていても顔に出てるに違いない。
こちらを見ていたアルコバレーノ達が、リボーンを見てニヤニヤしている。
だが、「てめぇら、その顔止めやがれ!!」


ドスの効いた声で怒鳴れば、そんなニヤニヤも消えてしまった。





次の日。

今回は、スカルとラル・ミルチが任務に行き、スカルの方が傷を負って帰ってきた。
風はというと、昨日リボーンにしたように
スカル達の元へ駆けつけ心配をする。



ズキン。




なにか、胸の奥が痛んだ気がした。
それと同時に、怒りに似たものが沸々(ふつふつ)と煮えくり返っている感覚に襲われる。



(なんだ?この感情は。……まさか、)



片想いなんてしたことがなかったリボーンは、表情や行動には出さないものの
自分自身に驚いた。

ましてや風は男だ。
尚更驚く。



「あぁ、こんなに傷付いて……手当て、しましょうか?」


「え、ありがとう…ございます。」



風の穏やかな笑みにスカルは思わず敬語になってしまう。


まるで親子の様に見えるその姿に、リボーンはまたもや怒りが込み上がった。








****



ウジウジと悩むのは面倒だ。
リボーンは、風を誰も居ない部屋へ呼び出す。
ルーチェには、誰も近付かせるなとだけ言っておいた。
それ以上の言葉は彼女には必要無いのだろう。
理由を聞くことなく、『わかったわ』とだけ言って皆の元へ戻っていった。




落ち着いた雰囲気を醸し出すシック調の家具。
その部屋に、エスプレッソのいい香りが漂う。


ガチャ、と音がした扉へ目をやると
何故だか緊張した様子の風が佇んでいた。


「…わりぃな、呼び出して。」

「いいえ、大丈夫ですよ」



会話が続かない。
だがしかし、このままダラダラ引き摺って言えなくなるのも、
後味が悪い。



「風…、単刀直入に言う。俺はお前が好きだ。お前さえ良ければ、俺と付き合わないか?もちろん、愛人も無しだ。俺はお前だけを愛す。」



言い切った。
これで、風がドン引きしていたら付き合うのは無理だと誰もが思うが、しかし
予想に反し、風の顔は真っ赤になっていて、風自身も慌てふためいていたのだ。「おい、風?」

「え、あ…すいません。あの、う、嬉しく……て…。ごめんなさい、気持ち悪いですよね!!大の男が照れるなんて……。」

「気持ち悪くねぇぞ、それよりお前……嬉しいって、」

「わ、私も貴方が好きだったんです……。」



お互いに赤面しているのは分かっていた。
しかし、自然と体が動いて、キスをして
備え付けられていたベッドにリボーンは風を押し倒していた。






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