第四の扉
□大好きなあの人へ
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いつかは伝えたい
大好きなあの人へ、この言葉を・・・
幸せな毎日は一転し、今の世の中は私たち、アルコバレーノには厳しい世界へと変わった。
誰も責めることはできないと知っても、
誰も悪くないと知っても、
それでも、架空の誰かを恨んでしまう。
それが架空ではなく、実際に存在する人物であろうとも、私には知る術はない。
「・・・你好(ニーハオ)、リボーン」
ピ、ピ、っと規則的な機械音。
その中で微かにする規則正しい呼吸音。
私は定期的に訪れるようになった。
私の恋人であり、アルコバレーノの仲間で晴のおしゃぶりを持つリボーン。
私の、愛しい、大好きなリボーン。
しかし、最近では声を聞くことも少なくなった。
外には対アルコバレーノ用のノントゥリニセッテが舞い、確実に、着々とアルコバレーノの身体を蝕んでいく。
誰一人として、例外なく。
ここ、日本はその中心地であり、リボーンはここに住まうボンゴレ十代目の家庭教師である。
私は少し離れた中国住まいなので影響はないとはいえなくても、日本にいる者より確実に少ない。
すでに【ボンゴレ狩り】と呼ばれるものが始まっているという噂を耳にはしているが、中国でも人の少ない山奥に住まう私の元にはまだその手は及んでいない。
及んでいたとすれば、のんびりもしていられなくなるのだから。
ボンゴレファミリーと敵対する、
マフィア・ミルフィオーレファミリー。
武道家である私の元にはあまりマフィアの詳しい情報は入ってこない。
しかし、定期的にリボーンと連絡を取っていた私は、リボーンから少しでもその状況は聞いていた。
『お前も、気をつけろよ』
電話の最後、いつも、リボーンはそう心配そうに言った。
決まって私は、
『心配いりませんよ。』
と笑って返した。
その当本人が倒れたと聞いたのは一ヶ月ほど前。
いつもの電話を道場で弟子に教えつつ待っていれば、入ってきたのは、聞きたくなかった言葉。
『リボーンが、倒れました・・・』
泣きそうな、でも幾年も経ち確りしてきた十代目の声だった。
私はすぐさま、中国を出た。
勿論必要最低限のことは弟子に伝えた。
練習を欠かさぬこと。
知らぬ者には私の所在を話さぬこと。
もし、危険だと感じだ場合逃げること。
そして、
命を守ること。
弟子は真剣に頷いた。それに安心し、私はこうして中国から日本へと来た。