ごったに。

□悲しいだけじゃ終わらない
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今日は一つも良い事なかった。

目覚まし時計かけ忘れて寝坊した上に学校に遅刻するし、現国の漢字の抜き打ちテストで思わず証拠隠滅を図りたくなるくらい壊滅的な点数を取るし。

返してもらう時、丸井にテストの点数が見えたらしく、おもいっきり指差されて爆笑された。何ていう屈辱感。

あいつ現国だけは点数いいから調子乗ってるんだコンチキショ―。

それに加え、放課後に赤也が避けたせいで真田の鉄拳制裁が偶然赤也の後ろにいた私の左頬に直撃した。

挙句の果てには柳と久しぶりに二人で一緒に帰る約束していたのにテニス部御一行がくっ付いて来るし。

今、こうして柳と共に乗ってる電車も満員電車で身動きすら取れない悲惨な状況。

もう泣きたい。繊細な私の心が砕けてしまう。





「もう明日への希望が見出せないや。」


「久しぶりに二人で帰れるんだ。もっと明るい話をしてくれないか。言う言葉が自殺志願者と一緒だぞ。」


「うん、二人で帰れたけど二人っきりじゃなかったよね。」




「なんだ?俺と二人っきりで帰りたかったのか。」と口の端を上げてニヒル笑う彼は意地悪だ。

ああ、帰りたかったよ。二人っきりで帰りたかったさ。柳はいつも部活で遅くなって中々一緒に帰る事が出来ないから、実はめちゃくちゃ楽しみだったんだよ!!

多分、私が楽しみにしてた事をこの男は知っていてワザとこんな質問をした。意地が悪いぞ柳蓮二。

少し睨みを効かせて、私の顔より高い位置にある柳の顔を見上げてやると、ペシンと軽くデコピンされた。





「俺も二人で帰りたかったさ。しかし、精市が強情でな。おまけに仁王と丸井が悪乗りしだしたから手が付けられなくなったんだ。」


「あいつら明日シメる」


「明日の部活はミーティングだけだ。明日も一緒に帰らないか?」


「やなぎ―っ」




明日も一緒に帰れるなんて幸せだ。思い切って人目も気にせず抱き着いてみると優しく頭を撫でてくれた。

抱き着くといつもなら周りを気にして剥がされてしまうが今日はただただ頭を優しく撫でてくれるだけ。

なんだか柳らしくないなと思っていると、私の心情を察してか説明してくれた。




「満員電車だ。俺らが抱き合っていてもばれないだろう。」




くすっと笑いながら頭をポンポンと宥めるように手を置いてくれる。

テニスやってるのに綺麗でおっきくて温かい柳の手が好きだなあ。頭撫でてもらうだけで気持ちが軽くなって気分が良くなる。

今日の現国のテストの点とか、遅刻したとか、真田の鉄拳制裁とかもうどうでも良くなった来た。

柳と二人で帰れて、頭撫でてもらえた。それだけで幸せ。

それ程、私にとって柳の手は特別な手なんだ。


嬉しくなって柳の背中にまわしている手に力を込めると柳が微笑んでくれる。





「柳、大好き。」




急に言葉で表現したくなってそう言えば、ちょっと驚いたようで。

薄ら眼を開いたと思えばフワッと綺麗に笑って彼はこう言った。




「俺も大好きさ。」







今日、厄日だと思ってたけど吉日の間違いみたい。








悲しいだけじゃ終わらない


悲しみの後には必ず幸せがあるんだ。



























短いですけど参謀への愛が伝わると良いです。





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