ごったに。

□ステップ
1ページ/1ページ






人の繋がりとは酷く曖昧な物で、人はそんな影も形もない物に時に振り回される。

まあ、私もその内の一人なわけで。今現在、訳の分からない物に振り回されている最中である。


大事な物こそ目に見えないとはよく言ったもので、人との繋がりに形はない。

今、私はそんな形のない物を必死に追い求めているのだ。

誰かと繋がりたいと思っているけど、その理由がわからない。と言うか、繋がった所で何がしたいのか。

というか、本当に繋がりたいって思っているのか。

じゃあ、逆に私は誰かに繋がる事を求められているのか。

勝手に繋がりたいって騒いでいるだけかもしれない。

本当はただ認めてもらいたいだけなんじゃない?

共感してくれる人が欲しいだけ、優越感に浸りたいだけないんじゃないのか。


そんな訳のわからない物に振り回されてる自分が気持ち悪いったらありゃしない。


こんなに人の事を考えているのに、なんでこんな辛いんだろうか。



そんな風に頭の中がぐるぐるとしてきて、気晴らしに屋上に上がって大の字に寝そべってみたけど

沈んだ気持ちは何一つ変わらなかった。

空気が美味しくない。全部喉元でつっかえてる感覚がする。

どれほど大きく息を吸ったり吐いたりしても、空気が体を巡った気がしなかった。






「そう、疲れたんだよ。うん。」




「無表情でいきなり語り出すなよ、ここ怖いやんけ!」


「ご、ごめん。」





なんか、急に気まずくなって顔を伏せた。

いきなりこんな話題は不味かったかもしれない。謙也だってこんな話ふられたら困るだろう。

謙也がふんふんと何も言わずに聞いてくれるから、流れで意味分からない悩みをぶりまけてしまった。

申し訳ない事したなと悔やんでいると、急に上から声が降ってきた。






「なあ、」


「・・・・・・・・ん?」


「聞いてて思ってんけど、もうちょっと自分に自信持って良いと思うで。」






自信。

そんなものなんて持てない。今まで間違った事はしてないって言いきれないから。

ああ、だからこんなにも不安なのかもしれない。

人と繋がる事によって、自分は間違った事をしてないって肯定してくれる仲間が欲しかったのかもしれない。






「お前も人の子やなあ」


「私だって時には悩んだりするよ。」


「もう、後戻りできひんねんから、過ぎ去った事なんか忘れてまえば良いのに。」





そう、上がってきた階段は、気付けば結構な高さまで来ているわけだ。いまさら引き返す道はない。というか、退路は断たれてる。

高い場所まで登ったら悩みは消えるか?寂しさはきえるのだろうか。

積み上げて来た心の壁が高すぎてよくわかんないや。

空をぼーっと見ながらそんな事を考える。私は一体どこまで上がって来たんだろうか。







「結局、どんだけ悩んだって歩んできた道を確かめる手段はないんや。」


「難しいね人生って。」


「おん。死ぬ時に自分が歩いて来た道を正解か間違いか決めるのは自分自身や。他人がどうこう決めるもんやない。」





やから、後悔しないように全力で生きろっちゅー話や!

ビシっと私の顔に勢いよく人差し指を突きつけた謙也はとっても清々しい笑みを浮かべていた。


謙也の割には、良い事を言う。

私も随分馬鹿な事で悩んでたなと今までの事を思い返しながら呆れ笑いした。






「まあ一部、白石の受け売りなんやけどな。」


「良い事言うなと思ってたのに、今の一言で台無しだよ。」



「い、いや。殆どはちゃんと俺が考えて返した言葉やし!!」






はいはい。なんて生返事を返しながらこれからの事を考える。

これで完全に不安が拭えたわけではない。

やっぱり、不安な物は不安なんだ。

もし、過去の私が間違えを起こしていたとして、その間違えが未来の私に影響を与えたら。

考えただけでまた、喉元が詰まった。






「なんやねん!笑ったと思ったら、また辛気臭い顔しやがって。」


「だってさ、もし私がま」


「えええいい!!タラレバ話なんかいらん!お前はウジウジし過ぎやねん!お前はユウジか!」


「・・・・・・・・面白くない。」


「うるさいわあああああああ」





寝そべってた体を起こして、突如叫びだす謙也。

おそらく、彼の頭の中から今授業中な事はスッポリ抜けてしまっている。






「そ、そんな不安やったら死ぬまでお前と一緒におったるわ!一緒やったら何も怖ないやろ!」





階段だって浪速のスピードスターがおれば、一気に駆け上がれるちゅー話や!

流石、俺!と言って両手を空に広げる謙也。

でも、さっきの発言は聞きようによってはアレだ。





「え、何?プロポーズしてんのそれ?」





そう言えば、笑顔で細められていた彼の目は一瞬にして点に変わり。

一気に顔が赤くなったと思うと逃げるように屋上を出ていった。







「何がしたかったんだろうか、謙也は。」






彼が出ていった屋上の扉を見ながら、大きく溜息を吐いた。

忙しい奴だと、微笑みながら大きく息を吸えば。



空気がとても美味しく感じた。








with






(白石白石白石白石白石白石白石白石白石白石白石白石白石白石白石)


(煩いで、謙也。)


(ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ)


(ぷ?)


(ぷぷぷぷプロポーズしてもうた・・・・・・・・・)


(へえ、良かったやん。)

(・・・・・・・って、ええええええええええええええ)










-------------------------------------------------------------



今回は真面目に書こうとして挫折してしまいました。

確実に不完全燃焼。

こういう時の状況に謙也くんは非常に使いやすいです(笑)









.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ