企画.お題

□サイゴのうそ
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もしかしたらと
そんな想いが
自分自身を傷つけた

もう期待はしないと
決めていたのに





『今度はちゃんと続くの?』

「だーいじょうぶだって。俺、彼女は大切にするから」

『そのセリフ前にも聞いた気がする』



そんなことをいって
1ヶ月も経たないうちに別れたのは
誰だといいたい

それに彼女はって何だ

彼女しか大切にしない
そんな言い方だ



「それよりさ、名無しさんは彼氏つくらないの?」

『私は誰かさんと違って一途ですから』

「ヒドい言い方するなぁ」



でも、
今度は俺も本気だから

と、彼は付け足した



「あれ、もしかして信じてない?」

『信じれるほうがおかしいでしょ』

「傷つくなぁ」

『…………』

「でも、名無しさんも去年彼氏ほしいって騒いでたよね?」





そんなことを言えば
彼が困るのなんて
分かりきっていた


『じゃあさ、』


でも、


『私がもう少し早く告白してたら』


あなたが私よりも
あの子の事を見てるのが


『私と付き合ってくれてた?』


苦しくて、苦しくて



「え、……」

『なんてね、冗談。今日何の日か知ってる?』

「4月1日……エイプリルフール?」


『うん。私ね知ってるよ。清純がどれだけあの子のこと好きか』



だってあなたがあの子を見てるとき
私はあなたを見てたから


あなたはそんな私に気づかずに
手の届かない所へ行ってしまった

だからこれは
私があなたのためについた


サイゴのうそ






ねぇ、覚えていますか

去年の今日のこと


あなたがね

「そんなに彼氏がほしいなら俺がなってあげよっか」

って言ったんだよ


それを期待して
待ってた私


けどそれは
あなたが今日という特別な日についた

サイゴのうそでした


fin.
 

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