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□灯台下暗し
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「あぁ〜!!巻てめぇ、俺の焼きそばパン食ったな!?」
「…あぁら、なんのことかしら?焼きそばパンなんて知らな…。」
「嘘こけテメェ!!!ほっぺに焼きそばパンの焼きそばが、引っ付いてんだよ!」
「しまった!!」
 あいも変わらぬ二人を見て、苦笑いを浮かべる人影が二つ。
「本当に、あの日の二人ったら嘘みたぁい。」
 と、巻の親友、湯川美由(ユカワミユ)。
「いや…。あの日があってこそのこの二人なのだろう。」
 と、純のライバルかつ親友、春日部亮太(カスカベリョウタ)。
「成程ぉ。さっすが、元女ったらし!!」
「いや、誉めてないよね。俺のこと、言葉のみでさげずんでるよね?」
 何はともあれ、これでよかったんだ。美由は、寂しげに微笑んだ。
「湯川さん。どうしたの?」
「ふぇ!?あ、うん…。なんでもない。」
「そ?」
 亮太は、喧嘩ばかりのカップルを見ながら、
「そうだねぇ…。」
 そっと、美由の手に自分のそれを重ねた。
「…亮太…君?」
 驚いて振り向くと、妖しげに微笑む亮太。美由は不覚にも胸をときめかせてしまった。
「湯川サン。純のコト、狙ってた?」
 美由は慌てて、真っ赤になりながら反論した。
「そんな…!!そんなわけ…。」
「あっ、図星?」
「う〜…ッ!!」
 亮太はかけていた眼鏡をはずした。
「俺でよければ、相手するケド?」
「こ、こっ、この女ったらしィィ──!!!!」

      *

「ん?美由のこえが…?」
「あぁ?んなこと言って逃げようったって無駄だぜ。」
 今だに、にらみあう二人。
 でも、その心は皆一緒。

──このままでいたい──


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