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□灯台下暗し
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「どこからわたしの話し、聞いてたの?」
 思いきってそう呼び掛けると、純は立ち止まって──こちらは向かずに──少し考えてから口を開いた。
「…『モテ期』辺りからかな…。」
「本当!?」
「…本当じゃなくなくなくない。」
「なくなくなく…って!!嘘じゃんか!」
 純の耳が赤い。きっと自分は、身体中真っ赤だ。
 だって、『モテ期』の前に思っていたことは──…。
「…純…、ごめん。変なこと聞かせた。」
 ──幼馴染みって、恋愛対象に入ってんのかな──。
 その、もう一つ前に…。
「でもね…。」
 ──純は、わたしのこと、どう思ってる──?
 その、もう一つだけ前に…。
「わたしの気持ち、嘘じゃないから。」

 ──わたし、純のこと好きかも──。

 巻は、堪らなくなって、純に背を向けた。
 ツリアワナイ。
 涙が溢れそうだった。
「…巻、ごめん。」
 ホラネ。
 いいの…。気持ちが伝わっただけでも。
 その時、何か温かなモノが、巻を押し包んだ。
「え…。」
「ごめん、巻。俺から言い出そうって思ってたのに。まさか、こういうことになるなんて…。」
「どういうこ…。」
 巻は、純の腕のなかから、彼の真っ赤な顔を見上げた。
「……俺も、巻と、同じ気持ちってこと。」
 途端、巻の顔が、ボッと赤くなった。
 言った純までもが、茹で蛸の如く真っ赤だ。
「あ、ありがとう、純。わたし、今すげー幸せ。」


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