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□たさい
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 第一回志望校調査書が配られた。
 今は7月の半ばで、入試まであと半年くらいあるんだけど、何高校がどうしたとか、周りのみんなは忙しそうだ。(わたしもそんなこといってられる御身分じゃないけれど)
「調査書は来週の金曜日までに、必ず出すように」
 内藤先生が、絶対に出しなさいよと強調している。
 絶対にと言われても、まだ志望校、未定なんだよなぁ。
「あと、それから地島!」
「…え?わたし?」
 なに?さっそく調査書に描いたらくがきがバレた?
「あんたの隣。また休んでるみたいだからさ、調査書机に入れといてやって」
 隣…?あぁ、帯原か。てか、コイツまたいないの。夏風邪かな。
「じゃ、一限目は移動教室だから。遅れないように行きなさいよ!以上。」
 ダンッと教卓に手を置いて声を張り上げた内藤先生は、クラスのみんなが、ちゃんと準備をし始めたのを見届けてから、自分の準備をし始めた。
 若いのに随分と熱血な先生だと思う。なんだかんだ言って4ヶ月前にご結婚されたばかりらしい。近年の若い女性というのは、本当に頼もしいものだね。
「麗奈、おっはよー!!」
「うわ!」
 びっくりしたぁ。突然背中にタックルを食らったもんだから、美術の教科書の上から筆箱が滑り落ちちゃった。
「葉香美…。朝からタックルはきついよ」
「あはは!ごめんごめん」
 そんなの口先だけで、反省の色なんてどこを探しても見つからない。ま、それが葉香美なんだけど。
「なんかさぁ、今年の夏、暑くね?」
 大袈裟に汗を拭う仕草をしてみせる葉香美に、そりゃあね、と返す。
「ほら。聞いたコトない?寒ぅい冬の次には、暑ぅい夏がくるってさ」
「ええ〜〜?知らないよー。確かにこの間の冬は恐ろしく寒かったケド」
 まぁまぁ、それよりさぁ。
 にやにや笑いながら葉香美が肘でつついてきた。言いたいことは分かってるんだけど、とりあえず、どしたー、なんて問うてみる。
「麗奈サンの第一志望校はどこなんですかね?ん〜?」
「はぁ、やっぱりそう来るか」
 思わずため息が出るほどに葉香美らしい質問だった。
「…わたしはまだ、決まってないよ。葉香美は?」
「え!?わたし?……わたしは…ん〜決まったというか、そこしかないというか」
 苦笑してしまった。葉香美の成績のスバラシサなら、幾度となくこの目で見てきた。
「わっ、笑わないでよー!麗奈のバカ」
「はいはい。でも、予想通りの答えなんだもん」
 麗奈サイテー。プリプリしていた葉香美が、わたしのとなりの席を見て、突然ピタリと動きを止めた。
「ね、麗奈」
「ん〜?なに?」
「あんたの隣って、…えっと」
「帯原ね。帯原隼」
「そーそー!そいつ!!」
 そいつさぁ!と、目も口も大きく開けて喋る葉香美。ボリュームをさげた方がいい。
「昨日の帰りにねぇ、そこの川沿いの道路で見たんだよ!」
「へぇ、そうなん……え?昨日?」
 こいつ昨日も休んでたじゃん。
「そうなんだよねー…。怪しくない?こいつ絶対サボりだよ!!」
 もったいないよねえ、なんて、どこかババ臭く葉香美が続ける。
「なんで?」
「えー、だって帯原ってめっちゃ頭いいんだよ?しかも、割とイケメンだしぃ」
「は、はぁあ?」
 あ、あんな女顔の何がいいのさ!
「イラッとするぐらい肌白くて不健康そうだし、第一口悪いし!まさか、葉香美って、そういうのタイプなの…?」
「えー?んなわけないじゃん!しかし、今日の麗奈はいっぱい喋るねえ!!珍しい!」
 え、そんなにわたしは喋んない人だったっけ。
「ま、なんでもいいから早く行こ?ほら!ちゃっちゃと着替えちゃいなよ」
 そうだ、一限目は美術室だった。こんな悠長に話してる暇なんて無い!
「葉香美!麗奈!何してんの!みんな行っちゃったよ!!」
「あ〜あ〜、ヤバい」
 廊下から顔を出した明兎が忠告してくれて、慌てて時計を見れば、後三分。第一美術室までなら、走って間に合うだろう。
 いつの間にか机の下に落ちていた消しゴムを拾って、わたしたちは廊下に飛び出した。



















後書き

あら、短くなってしまいました。
ご一読ありがとうございます!

文章が酷すぎて泣きたいです。
まぁ、リハビリ兼鬱憤晴らしな作品ですから、「ふうーんそうなんだ」程度で読んでいただければいいなと思います。

リハビリと言いましても、頑張って書いてますので、中傷とかはやめてくださいね。



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