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□買われる人
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この世に生を受けた瞬間から、彼らに値段が付けられる。
何故ならば、彼らは〈買われる人〉だからだ。
世界にたった5パーセントしか存在しない〈売る人〉に、酷い教育を叩き込まれ、たった15パーセントしかいない〈買う人〉に買われていく。
買われた後は、力仕事、実験、性欲の捌け口くらいにしか扱われない。
年老いたら、体を縛って海に捨てる。
〈買う人〉たちにとっては、とても便利なモノだ。
反抗なんてしない。
自分達の掌の上にあって、いつでも壊せる命なのだから…。
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───
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たくさんの〈人〉を乗せた牛車が、王都へと、田舎道を進む。
その中の少年、ag018323号は、下唇を噛み締め、身を縮めて震えていた。
彼は、生まれた瞬間に母と離され、八年間、教育とは名ばかりの虐待的生活を送らされてきた。
今、小さな鉄格子の外には、この場には全くの不似合いな初春の日差しが満ちている。
白い日差しは、希望か、はたまた心の乾きか…。
突如叫びだした仲間が、即座に斬首させられるのを、ちらりと見、またも少年は唇を噛み締めた。
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