りこむならきしめて








わたしの主である彼が繋がれた…ううん、捕まれた手を離してくれない

仕事がまだあるのに、どうしよう…と、現在進行形でわたしはどうすればいいか困っている

何があったのかはわからないけど、わたしはそっと彼の頬に手を当てて、できるだけ優しく笑った




「……リオン様、どうなされました?」




わたしは、控えめに主である彼の名を呼んだ

だけどリオン様は、眉間に皺を寄せてさらに不機嫌そうになってしまった


あれ、何かおかしかったかな




わたしが頭の中で慌てていたら、「エミリオ」と、リオン様が小さく呟く

ああ名前だったんだね




「ですが…いくら人通りが少ないとはいえ、ここは廊下ですし…」

「…嫌だ、断る」





珍しく甘えてくるように彼に抱きしめられて、わたしは思わず熱を顔に集中させた

彼はそれを見ると、少しニヒルな笑いを浮かべて、わたしはひやりと冷や汗をかく

うう、何か楽しそうに見える




「…名前を呼ばないなら、ずっとこのままだぞ」

「……ぅ……、え…エミリオ」





また熱が顔に集中して、顔が熱くなる

わたしはこんな顔を見られたくなくて、彼の肩に顔を押し当てた







「…ねぇ、エミリオ」

「なんだ?」

「離してくれないの?」



お仕事まだ残っているんだよ、と頬を膨らませて言ったら、後でやればいいと言われた




「…それに」

「…それに?」




オウム返しのように、わたしは短い単語を聞き返した

だけど、彼は顔をぷいっと背けて何も言わず、ただ腕に力を加えた



わたしも楽しそうに、愛しくて大好きで大切なエミリオの背中に、そっと腕を回した


わたしの幸せな時間















(額、頬、首に愛してる証を)
(僕はまた彼女をしっかりと抱き締めた)

(黙り込んで抱き締めたくれたあなたを、証をくれたあなたを)
(わたしは受け入れて、嬉しいと笑った)







お題:いろいろ12
ひよこ屋様より



ツッコミたいことや感想があったらどうぞ



[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ