恋の抑止力

□10,わかりあう
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夕暮れの帰り道



銀ちゃんの家を出てから
沖田さんは一言も口を聞いてくれない




沖田さんは

一人ズカズカ私の前を歩いていて




なんか 怒ってるようで





胸がきゅうっと狭くなる






でも そりゃぁそうだよね

勝手に真選組出て
勝手に銀ちゃんのとこ行って






沖田さんに迷惑かけっぱなしだなぁ






「…」







すると 沖田さんはいきなり止まり


私は沖田さんの背中に頭をぶつけてしまう






『いたっ…』







「…萌香」






『は、はい』








いきなり低い声で名前を呼ばれビックリする





それと同時に心臓がトクン、と高鳴った








「俺ァ、お前のこと女にしか見れないんでィ」






『へ?』




沖田さんはまだ私に背を向けたままで


沖田さんの表情はよみとれない







「他の奴らがお前のこと
男だって言っても


俺ァ体はってお前のこと守ってやるから」







『お、きた、さん』







沖田さんの言ってくれた言葉が何より嬉しくって






心がジーンと温かくなってきた






それに目元も緩んで
辺りが霞む






「守ってやるから、
心配かけるようなことしねぇで下せェ

心臓に悪いやィ」







沖田さん…

私は沖田さんの背中に手を伸ばした


けど…なんか触れられなくって抵抗がある







本当に
なんで沖田さんはついこの前会った私のことを…

こんなに…こんなに…
気を使ってくださるのですか?






「な?」








そう言い軽く微笑みながら振り向く沖田さん







「で…………はい、」








『?』








沖田さんが右のポケットから出したのは



『か、かわいい』







花の形をしたピン






花びらがピンク色で
真ん中が黄色で



ガラス細工のように綺麗だった







「……お前が女だって証






そう言いポリポリと頭をかきながら また前に歩きだす沖田さん





私は嬉しくって
つい心の中でガッツポーズをする






『かわいっ』







そのピンをギュっと握りしめた




沖田さんが…私に…








『ありがとうございますっ』








「あぁ、
じゃ早く帰るぜィ」








『はいっ』








私はそのピンを懐にしまい また沖田さんの後ろを歩きだした







さっきとはちがくて
ちゃんと二人の間に会話が弾む







楽しい帰り道だった
































(帰ったら仕事サボったから土方さんに怒られました)

 

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