リカレント・パルプフィクション
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「骸!骸!やだよ!逝かないで!」
次第に弱まる骸の心音に、どす黒い不安が圧し掛かる。
「10代目!怪我の手当てをしないと!」
アジトに到着するなり、獄寺くんが駆け寄ってくる。
「オレのは大した事ないんだ!それより骸が!」
「!」
獄寺くんの目にも、骸の生命は燃え尽きそうに映ったに
違いない。
医療完備室へ運ばれていく彼に取り縋ろうとしたオレを
獄寺くんが引き剥がす。
「・・・っ!」
「10代目!静かに運ばないと・・・!」
ベッドに横たわる彼を見ていると、どうして気付かなかったのかと
いうくらい、腹部以外にもたくさんの傷を負っていた。
包帯だらけの体。
きつく閉じられてるわけではないのに、二度と開かないのでは
ないかと思えてならない瞳。
神秘的なオッドアイが優しげに揺れていた、ついさっきまでの彼。
「大丈夫だぜ、ツナ。骸はお前を置いていったりしねーよ」
「山本!無責任な発言は控えろよ!」
骸の手を握ったまま離れないオレを見兼ねて、獄寺くんと山本が
付き添ってくれる。
「・・・うん。そうだね、山本」
きゅ、と手を握りなおすと、まだ手は微かに温かくて。
どうしようもなく愛おしく感じた。