リカレント・パルプフィクション

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「綱吉君?」

目を開けると、薄く微笑んだ六道骸の顔が間近にあった。

「うわっ!!!???」

驚きのあまり寝転んでいたソファから飛び起きようとして
お互いの頭をしこたま打ちつけてしまった。

「〜〜〜〜〜っ!!」

声にならない声を上げ、さぞや怒ってるだろうと骸を盗み見る。
だが、意外にも怒った様子はなく、むしろ笑いを堪えているようだ。

「寝起きから騒々しいひとですね」

額をさすりながら、もう片方の手で起きるのを手伝ってくれる。

「寝てたわけじゃっ・・・」
「おや・・・珍しく考え事でも?」

珍しく、は余計だろ!と思いながらも素直に頷く。

「最近なんか変な声が聞こえるんだ・・・オレ怖くてさ」
「変な声?」

すると骸は酷く心配そうに見つめてくるから、調子が狂う。

「ん〜、なんかね。約束がどうのって言うんだけど・・・」
「約束・・・ですか」
「何のことだかさっぱりでさ」

話しながら腕時計を見ると、同盟マフィアとの会合まで1時間を
切っていた。

「わっ!早く行かないと!遅刻しちゃうよ!」
「だからお迎えに来たんですよ」

骸はボンゴレ正装のマントを手に立っていて、背後に回ると
オレの肩越しに長い腕を器用に動かして着せてくれた。

「じゃあ、今日は骸が一緒か」
「なんですか、不服でも?」

もたもたと髪を直している俺を、骸は呆れたように見ながら
口元を僅かに緩ませて笑う。

「いや、心強いよ」
「そうでしょう。何があってもきみ一人くらいなんてことなく
ガードしてあげますから」
「・・・う、うん」

骸は平気で気障な事を言う。
イタリア男だから?なんて最初は思っていたけど、獄寺くんを
見ている限りそれは偏見なのだと思った。
高飛車な物言いではあるけれど、骸なりの愛情表現だと気付いたのは
ごく最近の事で。

かつて自分の体を乗っ取るだとかで狙われていた時期があったなんて、
今では想像できないくらいだ。
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