リカレント・パルプフィクション
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隔週ペースで行われる幹部会議は、ジョット自身が希望し、
配下の街の様子や、ファミリーの者たちの安否などの報告が
目的とされるものだった。
ただし、私には別の目的があった。
幹部こそ、一番疑わしい。
守護者はどうであれ、幹部の中には合併したファミリーから
優秀な人材を抜擢した者もあったし、表向きジョットに敬意を
表していても胸中はわかったものじゃない。
大きな窓に背を向けるように、ジョットは再奥の席に着く。
私は彼の左隣が指定席であり、反対側にはジョットの幼馴染の
嵐の守護者が資料を手に座った。
見回すと、今日も20人からなる幹部が揃っていた。
こちらの表情を隠しながら、相手の様子を盗み見る。
その為に窓を背に向けて逆光になるようにしているのだ。
「ここ最近この地区の治安が不安定だと報告があり―――」
ガヤルドという男が、大きな地図を掲げながら説明を始める。
銀縁の眼鏡に、焦げ茶色のストレートな髪をした神経質そうな
ひょろりとした外見とは裏腹に、どこか油断できない雰囲気の
ある男だった。
彼もまた以前は敵対していたマフィアの残党で、身の置き場の
なくなった数人をジョットの恩恵で拾ったわけだが、彼は
ボンゴレ幹部にはいないタイプの極めて温厚で理知的な人柄が
買われ、幹部に斡旋された経緯がある。
正直に言って、私は彼は怪しいと感じている。
妙にジョットに諂った態度、取り入ろうとしてるのが見え見えで
虫が好かないというのもあるが、あの目が。
あの目は決して降伏などしていない。
だから、私は彼から目を逸らさない。