キリリク小説
□心から…【七×啓】
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俺が待っているのは恋人だけど、男の人。
それだけ、なんだけどね…
俺は薄青色した空を見上げてから、ふとまた時計に目を落とした。
あれからまだ3分しか時間が経っていない。
俺はとくにすることもなくて、携帯をいじり始めた。
メールの受信履歴を開いて、昨日七条さんとやりとりした文章に目を落とす。
〜
七条さん
『明日、久しぶりに街に出てデートでもしませんか?午後、時間空いてますか?』
俺
『良いですね!是非!時間は何時にしましょう?』
七条さん
『12時に〇×駅前の階段のところで良いですか?』
俺
『?どうせなら寮で待ち合わせしませんか?』
七条さん
『それもいいんですけどね。できましたら駅に待ち合わせでお願いします』
俺
『わかりました。じゃあ、明日駅前で!宜しくお願いします!』
七条さん
『楽しみにしてます。それでは、おやすみなさい』
〜
「……」
七条さん、なんでわざわざ寮じゃなくて駅に待ち合わせしたんだろう?
何か…
ありそうだよな……
あの人のことだ、絶対、何かある。
例えば、どこかに隠れて俺を驚かすチャンスを狙っている。とか…
俺はふと周囲を見渡した。
どこかに…
隠れて……………
……………
……
…
いや、よく考えてみれば、そんな俺を驚かしたところで何も良いことなんてないよな…。
じゃなくても普段から七条さんには驚かされっぱなしなのに……
きっと考えても考えつかないようなこと、考えいるんだろうなぁ。
あの人は…。
そんなことを考えていると、ふと口元に笑いが漏れた。
そんな時…
「伊藤くん?」
「ぅわ!!」
突然目の前にドアップで七条さんが現れた。
ビ、ビックリした…!
「お待たせしました。待たせてしまいましたか?」
「い、いえ!俺も今来たところです」
「そうですか。なら良かった」
「し、七条さんいつの間に来てたんですか」
ぜ、全然気配がしなかった;
「君が何か思い出し笑いをして微笑んでいるうちに、でしょうか」
!!
「み、見てたんですか?」
「えぇ、しっかりと」
は、恥ずかしい……