キリリク小説

□Lovesick【中×啓】
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‐生徒会室‐

放課後になると真っ先に生徒会室に向かう。

もちろん、生徒会の仕事に興味があるわけじゃない。

中嶋さんと1分でも近くにいたいためだ。
そして避けて通れないのが、王様…

王様あっての生徒会だ。
それはやむを得ない。

それに俺は別に王様が嫌いなわけじゃない。

だから余計にイライラとモヤモヤが募る。


俺一人が…

勝手に慌てふためいている。



バカみたいだ……


それもわかっているから、余計に腹がたつ。




「そういえばヒデ、あの件どうなった?」
「あぁ。あれは…」


仕事の話に、俺はついていけない。
聞いてもはぐらかされる。
“お前が知る必要のないことだ”と…

だから、俺は言われたままの仕事を片付けていればいい。
でも、やっぱり気になってしまうのだ。

俺のわからない話を二人でしないで欲しい…。


“あの”とか“あれ”とか、曖昧な言葉で…当たり前のように会話をしないで欲しい…。



淋しい……

すごく…

俺だけが蚊帳(かや)の外にいるみたいで…


「?どうした啓太?腹でも痛いのか?」
「え…」

余程ひどい顔をしていたんだろうか、王様に突然声を掛けられる。

やばい…



「あ、いや…目にゴミが入っちゃったみたいで…」
「大丈夫か?」
「大丈夫です。大したことないですから」
「そうか?」

「……」


咄嗟に嘘を言ってごまかすと、王様は中嶋さんと中断していた先程の仕事の会話をし始めた。




危ない危ない…

気を付けよう………



そう思った矢先、突然王様が大声をあげた。

「うお!何だよヒデ!?」

「!」

その声に驚いて顔を上げると、思わず目を見開いた。


中嶋さんが、王様の髪を撫でている。
いや、正確に言えば、王様の髪を摘んでいる。


「ゴミが付いてるだけだ、バカ。それで?」

中嶋さんは表情を変えずにそう話の続きを催促する。
王様は少し顔を赤らめて居心地悪そうにしつつも、話を続けた。
その間にも、中嶋さんの指は王様の髪の毛に潜り込む。

俺は、その様子をただただ目が離せずに見ていた。
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