キリリク小説
□扉にご注意!【丹×中】
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「〜〜〜〜っ、丹羽…キサマ…」
「ぃ!!」
郁ちゃんのあまりの剣幕に俺は避けることを忘れ……
パンッ!!
「痛ってー!!」
郁ちゃんの平手ビンタをもろに浴びてしまった。
◇◇◇
「あ〜〜ツイてねぇ……」
あのあと、怒りに震えたまま郁ちゃんは去って行った。
俺は後を追おうとしたがヒデに止められた。
郁ちゃんの怒りが沈むまでもう少し待てだとよ…。
「あ〜〜〜」
確かに、今謝りに行っても門前払いだろうな……
俺は痛む頬をさすった。
郁ちゃんに叩かれた左頬が見事に腫れている。
自分じゃ見えないが、恐らく手跡もくっきりと残っていることだろう。
なんか、前にもこんなことなかったっけか?
以前は確か、どこぞの誰かに向けて放った俺のパンチを見事に顔面に食らっていた気がする。
そうだ…、あのあとも確かひどい目にあった。
クソ…思い出さないようにしていたのに、思い出しちまったじゃねぇか!!
俺だって悪気があったわけじゃねぇのにさ…
郁ちゃん、俺らの(つーか俺の?)とばっちり受けすぎだぜ…。
あ〜〜あ、これからどうすっかな…
ただでさえ嫌われてるのに、これ以上嫌われたら尚更悲しいものがあるよな…
「なぁ、ヒデ…郁ちゃんの怒りってどんくらいで沈むと思う?」
「さぁ?まぁ、1週間は無理だろうな」
「1週間!?」
その間あの綺麗な顔を眺めることが出来ないのか……。
1週間……
それまでじっとしてろってか!?
あぁ…
ムリだな…。
ムリ過ぎる…。
それはいくら何でも酷(むご)すぎる…!!
俺は勢い良く席を立った。
「俺やっぱ謝ってくる!!」
「やめておけ、その顔に傷が増えるだけだ」
「〜〜だってよ!!」
「そのうちどっかの犬が嫌でも顔出しに来る。それからでいいじゃないか」
「〜〜〜…」
ヒデはいつでも冷静だ。
言っていることもまぁ…それなりにごもっとも。
だけど…
だけど!!
やっぱり俺は待っているだけなんて出来ない!!
「やっぱ行ってくる!!」
「はぁ…、勝手にしろ」
ヒデは諦めたように深いため息をついた。
俺はまた止められる前にと、急いで部屋を出ることにした。