キリリク小説
□これからもずっとあなたの側に【中×啓】
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朝‥―
PiPiPiPi…
俺は深い眠りについていた。
目覚まし時計が鳴り響いていることなど全く気付きもしない……。
バタン‥
そこへ扉の閉まる音が室内に響き渡った。
シャワールームから出てきた人物が俺の元へとやってくる。
そしてそのまま、目覚まし時計のリセットボタンを押した。
「啓太、そろそろ起きろ。遅刻するぞ」
「くぅ〜…」
だが俺は全く気付かない。
「……」
側に立った人物はしばらく俺の寝顔を眺めてから、再度声を掛けた。
「啓太」
だが俺がそれくらいで起きるわけもなく、一つため息をついてから…
俺の唇をキスで塞いだ。
「んご!!」
俺は突然のことで驚き、慌てて飛び起きた。
しかし……
ゴチンッ☆
「イッタ〜!!」
その勢いで何かにオデコを激しくぶつけた。
イタタタタ…
なんだよもぅ…!!
おそるおそる目を開けると、そこにうずくまる人影があった。
「えっ、中嶋さん!?」
俺は青ざめた。
中嶋さんは顔を手で覆って俯いている。
どうやら、起きた弾みで顎にクリーンヒットしてしまったみたいだ。
「すみません、中嶋さん!俺寝ぼけてて…。大丈夫ですか!?」
しかし中嶋さんは俯いたきり、返事もしてくれない。
どどどど、どーしよ…
俺は中嶋さんの顔を覗き見た。
その瞬間…
「よい目覚めなことだな、啓太」
素早く腕が伸びてきて、俺はほっぺをむぎゅーっと強く引っ張られてしまう。
声質からしても、顔を見ても一目瞭然だが…
お、怒ってる(涙)
「ご、ごうぇんなひゃい…」
「人が親切に起こしてやれば…!」
「う〜う〜」
ちょ、本気で痛いです中嶋さん……
俺は頬を掴んだ中嶋さんの両手に手を添えた。
その手がようやく離され、言語が自由になると、俺は必死に訴えかけた。
「だ、だって!意気なりなんか口の中に入ってきて…!!」
なんかぬめっとしてて、こう得体の知れない何かが…!!
「どうやっても起きそうになかったからな。眠り姫を起こすにはもってこいだと思ったが。そういえば姫と呼ばれるほど、お前は高貴なものでもなかったな」
う…
どうせ俺は一般市民の凡人ですよ。おまけに姫って…
俺、女でもないですって。
って待てよ…
眠り姫を起こすって、一般的に考えればそれって…
それって…