キリリク小説
□挑発【七→中×丹】
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「期限に出せそうか?あいつらは…」
「さぁ、どうでしょう?」
郁は何やら楽しそうに口の端を持ち上げた。
「賭けるか?臣」
それは昔と変わらない悪戯を楽しむ子供のような笑顔。
「いいですよ」
僕としては時間内に来るか来ないかよりも、どちらがココに来るかの方が気になりますけどね‥
仕掛けた罠を放っておくような人ではありませんし、
どんな仕打ちを持って来るのか
楽しみですね…
「私は来ない方に賭ける。臣は?」
「ん〜……って、二人とも同じじゃあ、賭けにならないですねぇ」
「ならないな」
「じゃ、一応来るってことで」
おそらく書類は持っては来ないだろう。
だが、どちらかが何かしらの報告をしにココを訪れに来るような気がしてならない。
僕にとってはそちらの方が気に掛かる。
来なくたって
こっちから出向けばいい話だけれど…
どうせ来るなら
あの人がいい…
どうせ来てくれるならば
あなたがいいです………
中嶋さん………
◇◇◇
PM6:00
結局郁の睨んだ通り、生徒会から送られてくるハズの書類は時間内には届かなかった。
郁は今別件で席を外している。
僕は直々に書類を取りに行こうとも思ったが、黙って部屋を空けるわけにもいかず、仕方なく郁が戻ってきてからにしようと諦める。
その間、あの人に嫌味のメールでも送って待つことにしましょうか。
そう思ってパソコンの席へと足を運ばせた。
だがその時‥
ガチャ‥
突然扉は開かれた。
「オッス!七条、例のもの持ってきたぜ?」
それは言われるまでもなく丹羽会長だった。
“ノックをしろと何度言えばわかるんだ!?”と毎度のことのように郁に注意されているのにも関わらず、この人はそれを守ったことがない。
そんなことを思い浮べながら僕は心中で苦笑いをする。
「思ったより早かったですね?」
「約束守れねぇのは人間のクズとまで言われちまったしな」
「おや、気になされていたんですか?」
「まぁ‥ちょっとはな」
そんな会話をしながら書類の受け渡しを行う。
だがパッと見、若干厚みが少なく思う。僕は敢えて確認の声を掛ける。
「これで全部ですか?」
「いや、あと3つの部が未提出のままだ。それは後日…でもいいか?」