キリリク小説

□挑発【七→中×丹】
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「お前ら、もうそれくらいにしろ!!」
「会長、突然どうされたんですか?」
「どうされたかじゃねぇ!毎度毎度どうしてお前等はそう…!」

更に何かを言おうとしたようだったが、会長はその前に疲れてしまったようだ。

「はぁ、もういいや…。七条、お前の用件はそれだけか?」
「えぇ。約束を守って貰えるのであればすぐにでも帰りますよ?」
「…わかった。あとで届ける」
「丹羽!」

勝手なこと言うな、とでも言いたげに眼鏡を掛けた人が会長の名を呼ぶ。
それをなだめるように丹羽会長は「いいから」と、その人に念を押した。

それ以降、どうやら彼は発言を諦めたようで、口を閉ざした。


おやおや…
あの人を黙らせるなんてさすが会長ですね。
一応これでも主従関係は成り立ってるってことなんでしょうか…?

ちょっと面白いものを見た気がします。

「何がおかしい?」
「いいえ。別に…」

自然と口元に笑みが浮かんだところを眼鏡を掛けた人は見過ごさず、更に眉間に深い皺を寄せた。
だが僕は丹羽会長の気持ちを考慮して、早々退散することにした。

面白いものも見れたことですし。

あ、でもその前に‥

「丹羽会長」
「あ?」

僕は会長の側へ行き、眼鏡の人には聞こえないようにわざと耳元に話し掛ける。

「時間厳守は夕方6時までに、お願いしますね?」
「あ、あぁ‥?」

無駄に肩に手を添えることも忘れない。

僕はそれだけ言うと眼鏡を掛けた人に挨拶をした。

「それでは、また」

意味深な笑みを残して、僕は生徒会室をあとにした。



トラップはもうすでに仕掛けておきました。
あの人がそれを見過ごすハズがない。

さぁ、ゲームの始まりですよ


中嶋さん…





「丹羽、アイツに何を言われた?」
「6時までに持って来いだとよ」
「……それだけか?」
「?あぁ‥」
「本当に?」
「何疑ってんだよヒデ、本当だって」

「フン、気に入らんな‥。オイ、アイツには気を付けろよ」
「??」


◇◇◇

‐会計室‐

「ん、早かったな臣。しばらく戻って来ないと思ったが‥」

会計室に戻ってくると、椅子にもたれてティータイムを楽しむ郁の姿があった。

「今は時間が惜しいですからね。あそこで無駄な時間を費やすのは、自分の首を締め付ける行為に等しいですよ」

僕はティーポットにお湯を足して自分のカップに紅茶を注ぐ。
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