キリリク小説

□好きなら好きと…【中×丹】
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俺がいなくてもなんとかなってしまいそうな、その雰囲気…。
素直にラッキー☆だけでは終われない。

焦りが生じる。

だから逃げ出したくなるんだ…

そして密かに試している…

『お前じゃなきゃダメなんだ…』

と、そうお前のその口から言わせたくて……


といっても、会長は俺なんだから、俺にしか出来ないことが多々あるのが現実。

わかってて、そう言わせてる俺も…
案外、
大人気ない…よな……



……………。

………なんの話してんだ?
あいつら…



なんのって、仕事の話をしているに決まっている。
それはわかってるんだが……


なんとなく、気持ちは蚊帳の外だ。

正直、面白くない。


かといって別に割って入る程でもないし…。


そんな時、ふと中嶋と目が合った。







「啓太、ちょっと耳貸せ」
「?」

何かを思い出したかのように、突然中嶋は俺の目の前で啓太と内緒話をし始めた。


っ…

おいおいおい…

俺の視線に気付いてそれをやるのか…?



到底俺からはなんの話をしているのかはわからない。
中嶋から何かを告げられた啓太は…遠慮がちに俺の方を見た。
その表情が少し困っているように見えたが…

「頼んだぞ、啓太」
「ふふ…。はい」

中嶋からなにやら励ましの言葉を貰うと、そう笑顔で返した。

更に中嶋は啓太の頭をわしわしと撫で始めた。
さすがにこの行為には啓太も驚きを隠せないでいる。

っ、つーか…!
俺も…だけど…………


「わ、中嶋さん!?」
「いい子だな。お前は」
「あ、あの…えぇっと……」


……。








『お前とは違って…』



そう語尾に隠された言葉がハッキリと聞こえた気がした。


薄ら笑うその笑顔……



複雑だ…

その手…その顔……
何もかも…


俺には決して向けられないであろうと実感する。
そう…あれは啓太だからだ…


中嶋はクールな一面が強い印象だが、意外と普段からよく笑う方だと俺は思ってる。
しかしそれは意地悪な笑みばかりで、先程啓太に向けたようなあんな優しげな笑顔は俺でも見たことはない。


そう…
見たことがないんだ……
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