キリリク小説
□お前のせい【丹×中】
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気に入らないから殴ってやった。
そしたら殴り返された。
更に気に入らないから取っ組み合いの喧嘩になった。
おかげで二人の顔はボロボロ。
そんなこんなでも一応俺たちは…
恋人同士。
多分……
‐生徒会室‐
「…………」
「えぇっと……」
いつものごとく放課後になると啓太と遠藤が手伝いに来てくれた。
だがいつも以上に冷め切った俺たちの空気を察してか、二人は扉を開けては苦笑いを浮かべたまま何も出来ずに突っ立ったっている。
「どうした?入れよ」
俺はいつもの調子で二人に声を掛けた。
「っと言われましても‥」
「二人とも‥何があったんですか?」
室内の様子はいつもと大差変わりは無い。必要以上に書類の山が机の上に積み重なって置いてあるだけだ。
おそらく聞きたいのは、この傷だらけの顔のことだろうが…。
「大したことじゃない」
適当にごまかそうとした俺よりも先に、ヒデが口を開いた。
そう、確かに大した理由ではない。そんなことはわかってる。
現になんでこんな取っ組み合いの喧嘩になったのか、順を追って思い返さないと思い出せない程小さなことだ。
だが、ヒデの口から“大したことない”と言い切られてしまうと、俺としては何か腹立たしい。
きっと二人に気を遣って言ったのだろうけど、何かが引っ掛かる‥。
大体、何かにつけてこいつの言動は『くだらない』だの『馬鹿馬鹿しい』だの否定的なものが多い。
そんなだからこっちだってカチンとくるし、イライラもする。
今回の件だってそうだ。俺は別にお前と喧嘩したくて言ってるわけじゃない。
なのに…。
そりゃ、たまには俺の方も悪かったかな?って思う時もある。
だけどな……
いいや、でも今回はやっぱ違う!
あれはみんなヒデが悪い!!
俺は絶対悪くない!
そう思ってはみるものの、やっぱりこういったことはどちらかが折れないと、いつまで立っても平行線だ。
小さなことでウダウダ言ってるほうが、それこそ馬鹿らしい。
そういう考えが持てるだけ、自分で言うのもなんだが‥アイツよりは俺の方が大人だと思う。
アイツほど『反省』という言葉が似合わない奴はいないだろう。
ちょっとは大人になれよな…
ったく……