キリリク小説
□美人に落とし穴【中×丹】
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「おぉ〜良い天気になったな!」
今日は休日。
1人街に買い物に出た。
この前雑誌で見掛けた品で気になったものがあったのでそれを見に来たんだが……
「あれ、確かこの辺だったような…」
あれ…
あれ〜?
道を一本間違えたか??
お目当ての店が見つけられずにいた。
「………」
誰かに聞いちまった方が早いかな…
「あ、すみません」
「?」
偶然通り掛かった女の人に声をかける。
俺の声に気付くとその人は腰くらいまであるサラサラのストレートヘアーを揺らしながら振り向いた。
お、中々の美人…
その人の顔を見た瞬間、率直な気持ちが心の中でもれた…
「××って店を探してるんですけど…」
「あぁ、そこなら私も今通るわ。ついてきて」
「え…?!あぁ…」
予想外の展開にあたふたしていると、彼女はツカツカと足早に歩いて行ってしまう。
俺は人込みに姿を見失わないように彼女を追いかけると、黙ってその人のあとをついて行くことにした。
◇◇◇
「ココよ」
「あ、ありがとうございました」
「じゃあね」
会話もなく5、6分歩いたところで目的地に辿り着いた。
用が終わると彼女は事身近に挨拶を済ませて去っていく。
な、なんてクールな人だ…
俺は思わずあっけにとられてその背中が見えなくなるまで見送ってしまった。
今まで女っ気の少ない環境で育ったせいもあるが、あの手の女性は俺的に珍しかった。
女の人というイメージはどうも賑やかな印象が強い。
それはきっと成瀬を取り巻くギャラリーに見慣れてしまっているせいでもあるだろうが…
……………いや。
どうでもいい話だった。
俺にはヒデがいるし…
それより今はこっちが大事だ。
俺は本来の用事を思い出すと、建物の中に足を運んだ。