キリリク小説
□Lovesick【中×啓】
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嫌なものを見た…
あれは、俺には決して見せてくれない特別な笑顔…
きっと本人ですら気付いていないのだろう。
あの人は、あんな柔らかく笑うことも出来たんだ…
その笑みの先に、俺はいない。
ただ、偶然通り掛かりに見てしまっただけ…
それはほんの一瞬だったけど、『特別』な何かを感じてしまった。
王様を見る中嶋さんの視線は、俺のものとは違う。
あんな顔、
俺には見せてくれない……………
付き合っているのは、
俺の方なのに……
◇◇◇
昨日の一件があってから、俺の気分は優れないでいた。
俺にとって王様は恋敵。
もちろん、それは俺が勝手にそう思っているだけ。
王様にとって中嶋さんは、きっと単純に“友達”とか“仲間”とかいう言葉で括られてしまう部類なんだろう。
けど、中嶋さんにとっての王様は、もっと違うものなような気がする。
例えば…
“お気に入り”
とか、他のものとは何か違う…
“特別”
じゃあ、俺は何…?
ついなんでも比較してしまう。
本人に確認したわけじゃないけど、俺だって好きな人のことはそれなりに見ている。
嫌でも感じるものがある。
それが、
気に入らない……
好きな人のことは自分が一番でありたい。
ごく普通のことだと思う。
けれど、それは表には出さない。
重たく思われても嫌だし、
それに、こんな感情……
気持ちの良いものでもないだろう…
特に中嶋さんの場合、こういった縛られることは嫌う人だ。
嫉妬心を持たれたくらいで、喜ぶとも思えない。
けど、
俺は以外と独占欲の強い人間らしい。
最近…
二人が一緒にいるところを見るだけでも、
俺は…………