キリリク小説
□扉にご注意!【丹×中】
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‐生徒会室‐
(あー…めんどくせ〜)
俺は一枚の書類と睨めっこをしていた。
そこにはまだ未提出分の書類事項の要点が必要以上の太字でハッキリと書かれている。
もちろんのこと、期日付きだ。
しかもその期日が要点文以上にデカデカと赤字で書かれている上、これでもか!と言うほどの波線付きだ。
この書類の制作者は、今俺の目の前で黙々と仕事をし続けている生徒会副会長サマだ。
たかが書類一枚にこれほど立派に思いが詰め込められているというのも、なんとも恐ろしい話だ。
そこまで『仕事しろ!』と言われてしまうと、意地でも仕事放棄したくなってくるは…きっと俺だけではないハズだ。
しっかし多いな〜…
何項目あるんだ、これ?
そこで上から一つずつ数えて見る。
1…2…3……
「…」
サボり決定だな…
気のせいじゃなければそれは10項目ほどある。
俺は目の前のヤツの様子をこっそり盗み見た。
ヒデは変わらず黙々と仕事をしている。
さ〜て、どうやって抜け出すかな……
どうせいずれやらなくちゃいけない仕事とはわかってはいるものの…
どうも気が乗らない。
ま〜だ幾分日もあることだし…
よし…!
「ヒデ、俺ちょっとトイレ行ってくるな〜」
俺はちょっぴり大げさなあくびと背伸びをしつつ、ドアへと歩み寄った。
そしてドアノブにもう手が届くか届かないかという距離に来たところで……
視線も表情も変えることなく、ヒデの口が開いた。
「…………丹羽、逃げるなよ」
そう言われ、0.2秒ほどのわずかな動きを封じられる。
俺は咄嗟に作り笑いを浮かべた。
「んなワケねぇじゃねぇか!すぐ戻るって!」
そう言ったセリフとは裏腹に、俺は“逃げろ!”とばかりに勢い良く部屋を飛び出した。
が……
ガンッ!!
「!?」
なんだかドアの向こうで、ものすごく鈍い音がした。
俺は恐る恐る部屋の外を覗いてみる。
そこにいたのは………
「か、郁ちゃん!?」
郁ちゃんは額を押さえてうずくまっている。
誰がどう見ても、何が起きたかは一目瞭然だった。
「だ、大丈夫か郁ちゃん!?」
だが郁ちゃんはうずくまったままプルプルしている。
なんか物凄いイヤな音したもんな。
かなりの衝撃でぶつかったに違いない。