キリリク小説
□可愛い人【中×丹】
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放課後はいつものように生徒会室に入り浸っては書類との睨み合い。
このクソ忙しい中、丹羽哲也生徒会長様は今日も不在……。
さぞやどこぞの部に混じって遊んでいるか、のんきに昼寝でもしていることだろう…。
このクソ忙しい時に…!!
さすがにこうも毎日不在続きだと、俺の怒りも限界に来ている。
そろそろ…
わからせないといけないな……
「なぁ、哲ちゃん?」
俺はこの窓の向こうの景色のどこかにいるのであろう丹羽に小さく言い放った。
◇◇◇
俺はやむを得ず生徒会室をあとにし、丹羽詮索に出掛けた。
あれだけ目立つ男だ。周りに聞けば何かしら情報は手に入る。
まぁ、大抵居場所は決まっているが………。
俺は目指す場所をひとつに絞り、そこを目指して歩きだした。
だが偶然にも目的地に到着する前に、ターゲットは意外にも簡単に見つけだすことが出来た。
路上にて(一方的に丹羽だけが)楽しそうに話をしている相手は会計部の西園寺郁。
一際目立つその容姿は、どこから見ても間違えることはない。
いつも隣か後ろにくっついているハズのおまけは、どうやら今日は姿がなく、今は二人きりのようだ。
だがいつ訪れるかもわからない。面倒なことになる前に、俺は速やかに丹羽を連れ戻すことにした。
「だからそうじゃねぇって、郁ちゃん!!」
「ん…?あぁ、丹羽。時間だな」
「時間…?なんの?」
西園寺は俺の姿を黙認すると、意味深な笑みを浮かべる。
もう全てお見通しといった顔だ。
そして、あいにくこっちの大馬鹿丹羽哲也生徒会長様は俺の存在に全く気付いてないようだ。
俺は丹羽に手を伸ばす。
「仕事に戻る時間だ。大馬鹿者」
「ぐぇ」
俺は丹羽の後ろ襟を強く引いて猫のようにあしらう。
「げ、ヒデ!?」
「随分な挨拶だな。女王様との有意義な時間を邪魔して悪いな、哲ちゃん?」
俺はいつにも増して皮肉を交えた作り笑いを浮かべる。
「いつまでも苦労が耐えないな、中嶋?毎回逃げられるのがわかっているなら、いっそ首輪でもつけておいたらどうだ?」
「あぁ。そうだな。そうするか」
「お、お前等なぁ!そ…」
文句を言いたげな丹羽を俺は鋭く睨み付ける。
そんな俺の怒りがいつもと違うと察したのか、丹羽は言葉を詰まらせた。
「戻るぞ、丹羽」
「あ、あぁ‥」
俺はしぶしぶと唸る丹羽を引きずりながら生徒会室へと向かった。