キリリク小説

□挑発【七→中×丹】
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あなたの大切なものはなんですか………?



そんなもの、
興味ないですね‥

でも…

あなたにとって特別なものであるのなら‥


僕にとってもまた


特別……



‐生徒会室‐

コンコンッ

「失礼します」

生徒会室の扉を二度ノックすると、僕はゆっくりとノブを回して室内へと足を運ばせた。
開かれた扉の先に並ぶ見慣れた二つの顔は、僕の姿を見るなり予想どおりの反応を投げ掛けてきた。

「げっ、七条‥」
「フン、会計の犬が一体なんの用だ。残念ながらココにはお前が喜ぶような餌は置いていないぞ」

あいかわらず失礼な方ですね…。

会長の「げっ」という発言も気に障りますが、まぁそれはさておき。
僕は敢えて相手にせず用件だけを伝えた。

「来年度の各部予算案や起案書等もろもろの書類が今日提出の予定になっておりますが、時間厳守で会計の方までお願いしますよ」
「わざわざそれだけのことを伝えるために来たのか?どこぞの部はよっぽどお暇と見える」

眼鏡を掛けた人物が何やらうるさいけれど、僕は丁重に言葉を返す。

「えぇ。うちはいつでも効率よく仕事を進めていますからね。どこぞの部みたいに、時間に追われるようなことは一切しません。ただし、約束は守って貰わなくては困ります。後々響くのはこちらなので。約束が守れない人なんて、人間として最低のクズですよ?ね、丹羽会長?」

僕はにっこりと微笑んだ。
会長は苦笑いを浮かべて僕に目を向けたくもないと言いたげに視線を反らしている。
その一方で、眼鏡を掛けた人物は眉間に皺を寄せてこちらを睨んでいる様子。
だが僕は全く気にしない。

「なるほど。あいかわらず口の達者な犬だな。だが、生徒会と会計の仕事量を同等と思われても困るんだがな。こちらには他にもやるべきことは山のようにある。何が優先すべきものかくらいはこちらで判断する」
「おや、それは仕事が出来ない人の言い訳ですか?」
「そう聞こえたか?大した思考回路だな」
「えぇ。都合が悪い時に出てくる言い訳じみた発言にしか聞こえませんでしたね」
「それは物事を多面的に見ることの出来ない、頭の狭いヤツの発言だな」
「そうでしょうか?でしたら…」

「あ〜〜もぅ、ストップストップ!!」

丹羽会長が耐え切れずに突然僕達の会話を遮った。
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