キリリク小説

□仕掛人【丹×中】
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放課後‥

いつものように決まって生徒会室へと足を運ぶ。
そしていつものように書類以外は何も待たないこの部屋。ため息の一つや二つは漏れて当然だ。

別件で来るのが遅れたのにも関わらず、その景色はいつもと全く変わりがなかった。
授業を終えたあと、きちんとこの場所に行くようにと念を押しておいたハズの人物も、どういうわけか当たり前のようにいない。

全く、あいつは……

しかしよく見ると荷物だけは出席している様子で、一度はこの場に足を運んだのであろうということが見てとれる。
おそらく戻ってくるつもりはあるのだろう。
だがそれがいつになるのかが非常に重要な問題でもある。
数分後か、数十分後か……はたまた数時間後か?
今ならおそらくそんなに遠くには行っていないハズだ。

そう確信した俺は来て早々、どっかのバカを探しに生徒会室から抜け出した。

◇◇◇

今日はおそらく外には出ていないだろう。
根拠と呼べるものは何もないが、俺の直感がそう告げた。
ヤツは校舎のどこかにいる。
思い当たる箇所はいくつかピックアップしてある。
一つずつ探っていくか‥。
俺はとりあえず、屋上を目指した。

−屋上−
階段を上り詰め、扉を開けるとそこには雲に覆われた空が広がっていた。
まだ3月となると風は冷たいものだが、隙間から漏れる日差しは意外と暖かい。
だがここで昼寝でもしようとするものならば、それはおそらく風邪をひく覚悟があるものだけだろう。
もっとも、海岸を好んでいくアイツにとっては関係ないのかもしれないが‥。

「………」

俺はとりあえず、ぐるっと屋上のスペースを見て回った。
だが、ここには人の影が全く見当たらない。

「ハズレか‥」

俺は諦めて次の目標へと向かうべく、屋上をあとにしようとした。

だがその時、突然上から一つの影が舞い降りてきた。
それは俺の背後に飛び降りると、後ろから俺の体をはがいじめにしてきた。

「ヒデ捕獲♪」

のんきにそう告げた人物は、紛れもなく俺が探していた人物だ。
まさか出入り口の屋根の上にいたとは…

「早かったな、ヒデ」

まるで待っていたかのような言いぶりに俺は少しカチンと来た。
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