小説(短編)

□誘惑【和×啓】
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ようやく仕事を片付けた俺は、ほとんど就寝するためだけにしか使われていない寮の自室へと戻ってきた。
時計は夜の10時を指そうとしているところ。
明日は仕事も学校もないからのんびり過ごせる。大好きな啓太と、一日中一緒にいられる。

なんだけど…

明日になるのが待ちきれない俺は、風呂に入ってから隣の啓太の部屋を訪ねることにした。

啓太、もう寝ちゃったかな?

◇◇◇

トントンッ

部屋のドアをノックしてみたけれども返事はない。まさか、本当に寝ちゃったんだろうか?
俺はドアノブに手を掛けた。すると、

ガチャ‥

ドアは意図も簡単に開いた。部屋の電気も明るい。

「啓太‥?」

おそるおそる部屋の奥へ入っていくと、すぐに啓太の姿を見つけることができた。
でも何か様子が変だ…。
床にうずくまって、何かに耐えるように微かに震えている。俺は慌てて啓太に駆け寄った。

「啓太!!」
「っ!!」

俺にビックリしたようで、啓太の体は激しく揺れた。一体どうしたんだろう?

「啓太?」
「っ、触らないで!!」

!?

「っ、はぁ‥ごめ…。触らないで……俺、今、変‥だから…」

瞳をうるませて震える啓太。一体何があったんだ?
息も上がっていて、とても苦しそうだ。

「何があった?」
「っ、……あ‥め……」
「あめ?」
「七‥条さん、から…もらって………」



辺りを見渡すと、啓太の机の上に小さな包み紙がいくつか置いてあるのが目に入った。俺はそれを手に取ると深いため息を吐いた。
飴玉のようなその食べ物は、軽く押しやると意図も簡単に弾けた飛んだ。
中身からはドロッとした液体が流れ出る。

これ、催淫剤入りの飴だ……

「啓太、これ何個舐めた?」
「3つ‥」

原因はこれか……

俺は少し距離を置いて啓太の側に座り込んだ。

大変な時に来ちゃったな‥
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