小説(短編)
□夜空の下で【和×啓←七】
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『ずっと側にいるから』
そう言った当の本人は今、俺の側にはいない。
忙しいのはわかってる。でも、もう5日も会ってない。連絡すらない。
これは“たかが”程の長さなんだろうか。俺にとっては、もう何年も会ってないような錯覚に陥る。
会いたい
今すぐ会いたい
そう思ってるのは、俺だけなのかな…?
◇◇◇
「啓太、この書類のファイリングを頼む」
「……」
「啓太」
昨日も携帯に掛けてみたけど繋がらなかった。よっぽど仕事が忙しいのか?とも思ったけど、でも普通、着信履歴が残るんだ。手が空いた時に掛け直してくれてもいいと思う。
恋人、なんだし…。
「はぁ…」
「啓太」
「わぁあ!!」
「俺を無視するとはいい度胸だ」
「な、中嶋さん」
やばい…
今は生徒会の仕事を手伝っている最中なのに、よりにもよって中嶋さんの話を全く聞いていなかった。
怒ってる…よな?
ひょっとして、お仕置き‥
「手伝う気がないなら帰れ。邪魔だ」
「す、すみません。気をつけます」
「今日はもういい、帰れ」
あぁ‥。完全に怒らせてしまった‥。
くそぅ、これもみんなアイツのせいだからな!
バカ和希!!
俺はこれ以上中嶋さんの機嫌を損ねないように、生徒会室をあとにした。