小説(短編)

□恋の始まり【成×和になるまで】
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「ハニー!」
「あ…」

この声は……

俺と啓太は授業が終わって、これから生徒会室へ行く矢先だった。嫌でも注目を浴びる声の主は、眩しいくらいの笑顔を廊下に撒き散らして啓太一直線に走ってきた。

「成瀬さん」
「ハニー!授業はもう終わり?放課後もし空いてたら、テニスコートにおいでよ!今日は他校との練習試合があるんだ」
「あの、えぇっと‥」

俺は困った顔の啓太と成瀬さんとの間を割って入った。

「俺達、今から生徒会室に行くんです。ですから練習試合は見に行けそうにありません」

普段以上のさわやかな笑顔で俺は言い放った。啓太と過ごせる有意義な放課後をこの人に壊されるのは癪(しゃく)にさわる‥。
絶対に阻止しなくては…。

「なんだ、お友達くんもいたの。そう‥じゃあハニー、その用事が終わったら見においで。待ってるからさ」
「その後も用が入っているんで、今日は無理です!」

俺は成瀬さんに詰め寄る。

「お友達くん、僕はハニーに聞いてるんだけど!?」

成瀬さんも俺に負けないくらいの良い笑顔で俺に詰め寄る。

「啓太が断れず困っているんで、俺が変わりに言ってるんです!」
「勝手な解釈をするのは君の悪い癖だね。直した方がいいと思うよその性格」
「っ、余計なお世話ですよ!」

くぅーー!!あいかわらず頭にくるっ!

俺は啓太の腕を引っ張ってこの場から退散することを決めた。
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