小説(短編)A
□甘いお菓子と誘惑と【丹×中×和×啓】
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―生徒会室―
いつものように放課後の生徒会室。そこには毎度お馴染みの4人の顔ぶれが揃っていた。
今は仕事が一段落し、しばしのティータイムといったところだ。啓太が駄菓子の詰め合わせを持ってきてくれていた。
ヒデはまだデスクで作業をしている。
「なんか外、雲行きが怪しくなってきましたね」
「あぁ、夕方から降るって言ってたな」
窓の外を見ながら啓太が心配そうな声をあげた。
俺は教室で誰かが言ってた話をそのまま伝える。
するとそこへ、ヒデが補足をつけた。
「雷情報も出ていたな」
「え?じゃあ、本降りですね。どうしよう、傘持ってきてないや」
啓太の顔が更にしょんぼりとした。
ここから寮へは少し距離があるから、雷の中、傘なしで行くのは中々のものだ。
だったら、潔く今日はお開きでも良いんだが…。
天はそんなこと待ったなしで、早くもポツリポツリと大粒の雨が降り初めてきた。
「言ってる側から始まっちまったな」
「あ〜あ」
「落ち着くまでは我慢するんだな」
「中嶋さんも、ひと休みしませんか?」
遠くで遠藤が声をかける。しかしヒデは乗り気ではない。
「いや、俺は良い」
「ヒデはあんま甘いもんとか食わねぇからな」
「コーヒーがあれば充分だ」
それだけ言うと、ヒデは俺に視線を送る。
……………………。
あ〜…ハイハイ、俺に入れて来いってね。
口にしなくてもわかる。
もう長年の付き合いだ。
あの顔はそういう顔。
…俺ってすごくない?
文句を言っても何も良いことないので、素直に俺は準備に取りかかる。
「あれ、啓太これ何?可愛いね」
遠藤が見つけたのは小さな小瓶に入った金平糖のような小さな菓子。
ピンク、黄色、白、緑の淡い色が色鮮やかだ。