小説(短編)A

□だから目隠しで…【丹×中】
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人は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の5感と言われる感覚機能を携わって生きている。
例え一つでも欠けてしまえばそれは生活に支障が出るというもの…


今、目の前に…
視覚を封じられた人間が存在する。
たった数時間前までは確かに見えていたというのに…


事の発端は…
なんとも間抜けな話だ。

丹羽が廊下で“危険”と貼り紙のされた手の平サイズの瓶を拾った。
意図的にか偶然にかは知らないが蓋が開いてしまい、実はそれは刺激の強い薬品だったと…

実物を見せて貰ったが、確かにあれは薬品が入っているとは到底思えない…。
可愛らしい花柄の絵が描かれたソレは、キャンディや金平糖など入れたら似合うであろう、そんな代物だ。
危険と言われてもいまいち危機感が薄い。
コイツのことだ、興味半分で開けたに違いない…
(本人はあれは事故だと言い張っていたが…)

そんな危険なものを落としても気付かないでいる持ち主も持ち主だが…
まぁ、起こってしまったことにとやかく言っても仕方ない。


すぐに落ち着くハズだから安静にしているようにと言われ、一端丹羽は部屋へ帰された。(本人の希望もあり)
こんな状況に陥っても丹羽の様子は普段と何も変わらず非常に明るいものだ。
どうせ何も出来ないのだからと、直ぐ様ベッドに横になっては居眠りを始める始末。

そしてたった今、目を覚ましたわけだが…


「ん…。あぁ…ここどこだ?」

その反応を見る限りだと、どうやら状態は改善されていないようだ。

一眠りして忘れてしまったのか、丹羽は自分がどこにいるのか判断出来ずにいる。

「起きたのか」
「!…ヒデ?」

因みにここは寮の俺の部屋だ。
さすがに一人きりにはしておけないので、本人の部屋よりはいいと判断し、ここに居させている。
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