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□悲しいよ
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ね、シカマル?

ただいなくなることが悲しいよ。
あなたが世界からいなくなることが悲しい。

あなたを守れなかったこと。
自分に実力がなかったこと。
そんなことが悔やまれるからじゃなくて、あなたの存在がわたしの世界からなくなることがさびしくて悲しいよ。

逝くひとを送る時は、不純な涙は流しちゃいけない。大切な旅立ちを迎えるひとを、エゴにまみれた哀しみで濡らしちゃいけない。

そんなこともあなたから習った。
それは今に応用の利くこと。
だから私は只、悲しいだけ。
あなたがいなくなることがさびしいだけ。

ううん、いなくなるんじゃない。

あなたの命の一部は私の中に入った。
今までより近くに存在するのだから、いなくなるんじゃないけれど。

さわれない。
手で感じられない。
この目で見れない。
この耳で聞けない。

ね?

さびしいでしょ。

そんなあなたが消えるから悲しくて涙が流れる。

それは大丈夫な涙なの。
流したいだけ流していい水だから、雨のように降ればいい。


夕立のように

春雨のように

長雨のように


降りたいだけ降ればいい。
流れたいだけ流れればいい。

また日が差すことにも。

歩き出す邪魔にも、ならないものだから。

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