夢小説ショート
□ブルーなソラ
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「…何ふてくされてんだよ?オマエ」
彼が眉を潜めた。
‐パタン。
読み掛けの本を閉じて、胡座(あぐら)を崩して。
シカマルが立ち上がる。
「別に」
なんて私は窓際でソッポを向いて。
外に視線を戻す。
もう自分のみたいに慣れたシカマルの部屋。
久しぶりに重なった休日に、こうして2人きりでいられる幸せには、不機嫌になる理由なんか無いのだけれど。
それは、何でも無い日なら、ってコト。
「だがよ、明らかに不機嫌に見えんぜ?」
シカマルが背後に立った。
「言いたいコトがあんなら言えよ?」
窓枠に肱(ひじ)をつき、彼は下から私を覗き上げる。
『お返しは?』
なんて。
言うのは惨めじゃない?
催促して貰ったって。
意味が無い気がする。
「だから、何でも無いってば」
だから、白々しく微笑んで。
それから私は空を見上げた。
綺麗な青い空。
私の心みたいなブルー。
「…クッ…」
すると喉を鳴らす音。
「オマエ、分かりやす過ぎ]
そう呟いてシカマルは伸び上がった。
何が分かりやすいって言うのよ?
何にも分かって無いクセに。
そう思って。
口を尖らせた瞬間。
‐!!
私は彼の胸に抱き寄せられて。
唇を重ねられた。
「…な…」
『なによ?』、と。
抗議しようとしたら、キスが深まって。
「……ん…」
抗(あらが)えない貴方の侵略。
…え?
けれど。
突然口内に、異物感。
なに?
これ…
「…シカマルっ!」
なんとか彼を押し退けて。
カランと歯に当たるものを、口から取り出したら。
「…これ…」
‐キラリ。
日差しを浴びて銀色の輪っかが光った。
右手の上に、一つの指輪。
「チョコのお礼」
「シカマル…」
言いながら。
綺麗な指でソレを取り上げ、彼は私の左手をとった。
そして。
恭(うやうや)しく、私の指に小さな輪を通す。
「…機嫌、直ったかよ?」
右手は絡め合い。
優しい表情(かお)したシカマルに、耳元に囁かれながら。
「忘れるワケねーだろ…」
薬指で光る贈り物を。
私は、うっとり眺めた。
♪