[小説]刀神─カタナガミ─


□【二】契約
2ページ/6ページ

ある放課後。

オレは、
脩生の通う高校へと足を運んだ。


其処は、
街を見下ろす高台に聳える有名私立高で、県内トップクラスの大学進学率を誇っている。

つまり、名門中の名門校だ。

その有名進学校を──
脩生は、首席で合格した。


彼は、昔からそうだった。

何をさせてもソツ無く消化す。


そんな脩生の、
眩しいまでの経歴を仰ぎ見る度に、オレは堪らない気持ちになった。


オレと脩生の間に出来た壁は、
年を逐う毎に、高く強固になっていく。

埋め尽くせない溝が深まっていく…


そうしてオレは、いつしか、
鬼を斬る為に『女』を棄て──

脩生は、
鬼を斬る為に『感傷』を棄てたのだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ