[小説]刀神─カタナガミ─
□【二】契約
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ある放課後。
オレは、
脩生の通う高校へと足を運んだ。
其処は、
街を見下ろす高台に聳える有名私立高で、県内トップクラスの大学進学率を誇っている。
つまり、名門中の名門校だ。
その有名進学校を──
脩生は、首席で合格した。
彼は、昔からそうだった。
何をさせてもソツ無く消化す。
そんな脩生の、
眩しいまでの経歴を仰ぎ見る度に、オレは堪らない気持ちになった。
オレと脩生の間に出来た壁は、
年を逐う毎に、高く強固になっていく。
埋め尽くせない溝が深まっていく…
そうしてオレは、いつしか、
鬼を斬る為に『女』を棄て──
脩生は、
鬼を斬る為に『感傷』を棄てたのだった。