リボーン
□“シアワセ”の師匠は僕の弟子/フラ骸/ほのぼの
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「ししょー」
「………なんです?」
フランが駆け寄ってきて、骸ポスンと体をを預ける。
「ししょーってー、なんかいい匂いがしますー」
「そうですか?」
「はいー。まるでサンバが似合いそうな感じの、某南国果実みたいな匂いですー」
「おちびさん、そのカエルごと頭かちわりますよ」
「嘘ですー。怒らないでくださいよー。ホントは、なんか甘い匂いですー。………ししょーの匂いって落ち着くんですよねー...」
骸の胸にフランが顔を埋める。
こんなふうに時折、フランは骸に甘えてくる。
「………そうですか」
骸としては、フランの頭を撫でてやりたい。………が、頭のカエルが邪魔をしている。仕方なく、カエルの上に手をのせる。
「ししょーってー、今シアワセですかー?」
フランが、骸を見上げて問いかける。
「………シアワセ、ですか...」
「そうですー。ししょーのことなんでー、そんなこと考えたことなんてなさそうですが」
よくわかってるじゃないか、と骸は苦笑する。さすが、よくできた弟子だ。
“シアワセ”なんてそんなもの、幻にすぎない。
幼い頃からの思いに、今もこれといった変化はなあ。
「………では、フランはどうですか?」
「ミーは………」
フランが、1度言葉を切る。
「………ミーは、ししょーが居るからシアワセですー。大好きなししょーと2人で居られるなら」
フランが骸を見上げる。
「………ししょーはどうですかー?」
「………僕は、シアワセというものがわからない人間ですから………」
「そうですかー………」
なら、とフランが骸のほうへ身を乗り出す。
「ミーがししょーに“シアワセ”を教えてあげますー。ミーが、ししょーのししょーですねー」
そう言って、少し誇らしげに笑うフランはの瞳は、純真そのもので。
その瞳に、骸はふと引き込まれた。
───こんな瞳(め)が見られるなら、“シアワセ”も悪くはないかもしれませんね………
†end†
→あとがきと懺悔