日和 学パロ

□出会い
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「……おい、そこどけ」

低い声でぼそり呟く。
途端に、その男の周りには、誰一人残らなくなる。

どけと発した男は、前髪を上げ、後ろの方で結っている。そして、学ランを着、暗いではなく恐ろしい顔で、校内を歩く。
そして、何か問題が起きた時、必ず彼はその場に居合わせる。そして彼の手により、問題を起こした者は病院送りにされる。

全ての事を知っているかの様に。

何処で何時何が起こるのか、全て把握しているかの様に。




問題は、まるで自分が何処で何時起きて、誰と誰がその場に居合わせるなど、全て彼が決めているかの様に。






必ず、黒髪黒姿の「閻魔」が現れるのだ。




そして、その男は途轍もなく強い。
顔色一つ変えずに、30人やら40人やらたった独りで全て排除する程だ。

だから、仲間になろうとする雑魚共は百と居るのだが、彼はまるでたった独りを待っているかの様に、
子分になりたいと言ってきた者を無視、しつこい場合は病院送りにするなど、酷い扱いをする。


そしてまた、彼同等の強さを持った者も居る。


前髪は長めで、彼同様黒髪。
制服は全く着ずに、私服で登校。大体は黒いロングTシャツに、ダボッとしたジーパン。
風紀委員会などが何度も注意したが、ことごとく身体に青あざやら傷口やら付けられる為、今や彼は論外となっている。

彼の名前は「上宮太子」。良い所のボンボンなのだが、親との仲の悪さでは校内1位、授業参観どころか、個人面談、三者面談でも、全く顔を出さない親らしい。

個人面談などは、学校が親に電話をかけ、電話で会話をするそうなのだが、その時母が言った言葉が本当だとすると…
太子は、親に個人面談やらがある事をを知らせていないらしい。何時かないのかと問っても、返事は全く返ってこない為、親の方も苦労しているらしいのだ。


そして、彼らは学校の一位二位を争う程の強さを持っている。

廊下などですれ違ったとしても、お互いにガンを飛ばすだとか胸倉を掴むだとかやり出す為に、関係は悪化するばかりで、話で和解しようと言う考えは端から無い訳で。



その関係は、中学1年から中学3年まで、ずっと続いていた。



だが、ある日を境に、決められていたかの様に、突然仲が良くなってきたのだった。

廊下で会ってもなにも無し、の所から、次第に挨拶を交わし始め、段々と仲良くなっていったのだった。


そして、高校生になり、中学の事はまるで嘘かの様に、問題児は問題児でも、クラスに一人か二人は居る「目立つ馬鹿」と言う、同級生から見たら「面白い奴」になっていた。

2人はどんどん仲良くなり、昼も一緒に食べ、何処へ行くにも何をするにも、供に行動していたのだった。



…………勿論、2人ではない。

中学の頃から、時々閻魔の傍に居た鬼男と3人で行動していた。
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