ふたりだけの海 〜マイナス〜

□近くて遠い
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天界は自然が豊かで空気が澄んでいて心が洗われる様だった。




「ここはいつ来ても綺麗だな…」


天界に着いたサタンは周りの風景を見回して呟いた。



するとサタンの元に何処からかやってきたリスが数匹近付いてきた。


「姫様は何処にいるか分かるか?」

サタンがそう聞くとリス達は前を歩いて案内した。



その途中、サタンの肩に乗って遊んでいるリスもいた。警戒心が全く無いリス逹にサタンは驚いていた。









しばらく歩くと水の音がして、森の中に細い川が見えた。


「ここにいるのか?」



川に近付いて行くと、静かに流れる川の近くの石の上に姫が座っているのが見えた。


気配を感じ姫が振り返ると、一瞬姫は何か期待を込めた表情をしていた様に見えたが、それはすぐに消えた。




「まぁ、サタン。どうしたのですか?」


「姫様…」


「いつの間にリス達とお友達になったのですね」


「あ…いや…これは…」


リス達はまだサタンの肩に乗っていて、サタンの頬っぺを撫でてみたり、頭に乗ってみたりしていた。




「リス達はとっても楽しそうよ」

姫がくすくすと笑うとサタンはほんのり頬を赤くさせて恥ずかしそうに目を反らした。




「姫様…何か変わった事はありましたか…?」


サタンがそう聞くと姫は困った様に笑って言った。




「気持ちという物は…難しいですね…」


「気持ち…ですか…?」


「えぇ…こんなに一緒にいるのに…些細な事で擦れ違ってしまうものなのですね…」


サタンはそれは王子の事だと直ぐに分かった。



「でも…いつまでもこうしている訳にはいきませんね。果物を採ってお菓子を作りましょう。きっと機嫌を直してくださいますわ」


姫は立ち上がり森の奥へと向かった。


サタンも慌てて姫の後を追った。


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