森の奥深くに,一件の屋敷があった。
森の奥に……屋敷。
そう,周辺にも家などなく人も全く通ることのない場所にである。
まるで貴族でも住んでいそうな立派な屋敷。
昼間だというのに窓にはカーテンがひかれたままだ。
そんな珍妙な屋敷に住むのは,7人の無職の男達。
周りのことも,自分のことさえも全く興味無しの【アパシー】。
半年に一言も喋れば良しの無口な【レティサンス】。
冷徹・無情,痛みに苦しむ者がいればとどめをさす有り様の【クルアルティー】。
無知者の【イグノランス】。
出来るのに何もしない【インケイパブル】。
自分で考えることをしない【ゼロ】。
能天気な【インサルト】。
彼らを知る者からは『7人の小人』の名で呼ばれている。
心の小さな(自己中心的)人間達を省略して,小人。
外に出ることがほぼ無いに等しい彼らは,そう呼ばれていることなど知るよしもないが。
年齢不詳,経歴不詳,家族構成不明。
とにかく謎だらけな7人だが,誰かから仕送りを受けているみたいだ。
でなければこんな屋敷を維持し続け,無職の彼らが生き延び続けることは不可能だろう。
誰かからの支援なのかは,分からないが。
そんな7人の小人のもとに,白い雪の姫と呼ばれる姫が訪れようとしていた。
現実主義者の姫と,性格破綻者な7人の小人が出会う時。
永きに渡り伝えられてゆく,物語の1ページが開かれようとしていた。
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