スノウは自分の部屋の窓から森を眺めながらため息をついた。
「あの人も痺れを切らしてきたせいかしら,だんだん過激になってきてるわ」
先程までルーナティックと一戦を交えていたのだが。
いつもと違い,人目も遠慮もなしに襲われた。
最早,なりふりかまっていられないといった所か。
「流石に,殺し合いになるのは避けたいですし。困ったものね」
スノウとしては,あまり血生臭いのは嫌いなので。
後始末とかめんどくさそうだし,父も流石に黙っていないだろうから。
「…あのっ,スノウ様」
側に控えていた侍女のレカンの,おずおずとした呼び掛けにそちらを振り向いた。
「なあに?」
「…ええ…その,実は同僚から面白い噂を耳にしたのです」
もしかすると,レカンはスノウが危ない考えをしていると思い,話題を転換させようとしているだろうか。
スノウの行動によっては,レカンの首が飛ぶことになりかねないだろうし。
ここは日頃から迷惑をかけてる分,話に乗ることを決める。
「それはどんな噂なの?」
「はいっ。実は城の北に広がる森の中に7人の『小人』が住んでいるそうなんです!」
それはなんてメルヘンで,可愛らしい話だろう。
完全に嘘話に決まってるとスノウは心の中で呟いた。
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