今年,スノウは17歳になる。


色々と波瀾万丈な人生を歩んで来たせいか…。


『夢』だとか『仮想世界』とかにうつつを抜かす気になれない,自他共に認める現実主義者である。


とはいえ,これでもスノウは『姫』という世間一般的には羨ましがられる地位にいたりする。


しかし,スノウとしては今すぐ辞められるのなら辞めたいと思っていた。


理由はただ一つ。


過去,数十回にも渡る実母による暗殺未遂(極まれに白昼堂々)。


積み重なる嫌がらせ。


幼き頃は,素直でおとなしかったため泣き寝入りの日々だった。


でも,そんな日々もすぐに終了した。



















それはスノウが7歳の時。


森を散歩していたら,母であるルーナティックが懇意にしている狩猟の男に生命の危機にあわされたのだ。


数週間にも及ぶ闘病生活と,まとわりつく悪夢。


それはそれは,最悪な日々だった。



それ以降,『悪意には悪意を持って対応せし』をモットーに…。


ネズミの死体を送られれば,大量のムカデを送り返し。


矢を射られれば,料理に毒を盛る。


流石に多少は寝込むことはあったが…。


異様な感の鋭さ,悪運の強さからお互い未だに生きながらえている。



(薬物に対し免疫が出来,薬が身体に効かなくなったのも大きな起因とも言える)



そして,ルーナティックとスノウの仁義なき攻防は今年で10年目となった。


ちなみに父親は最早見ないふり,もとい現実逃避をしている。


実の母と娘の行為,険悪を越えた憎悪関係を受け入れたくないのだろう。


スノウとしてはルーナティックが何もしてこなければ,此方から何かする気はないのだが。


向こうが仕掛けてくるのだから仕方ないのだ。



……そう,別にあの人みたいに嫌がらせに喜びなど感じてイマセンヨ。


ホントウニ,チカッテ。




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