ルーナティックは嬉しくて堪らなかった。
意外とあっさりとスノウを片付けることが出来たのだから。
これからは,再びルーナティックがこの国で一番美しい女性となるのだ。
分かっていても他の者の口からも聞きたくなり,ミラーを呼び出した。
「ミラー,この国で一番美しい女性は誰?」
「……それは白い雪の姫です」
「…えっ?……あの子は亡くなった筈…よ」
意味が全く理解出来なかった。
ミラーは一体何を言っているのか。
「どういう…こと…?」
「…スノウ姫はご存命であらせます」
「そんなっ!?…どうしてっ!確かにあの子は…私が…私が送った林檎でっ!」
あらぶる心を落ち着かせることが出来ず,感情のままテーブルの上の物をなぎはらう。
グラスや花瓶が派手な音をたてて割れた。
「落ち着いて下さい,王妃様!」
「落ち着いてなんていられないわっ!」
そうは言ったものの冷静にならなければどうしようもない。
ルーナティックは深く深呼吸を繰り返し,自分を落ち着かせる。
「…スノウはどこにいるの」
「城の北に広がる森の奥にある屋敷におられます。他にも7人の男性がおられるようです」
「そう,なら森に行くわよ。ミラー,貴方も来なさい」
「ですが…」
「私の言うことが聞けないの」
「いいえ!…分かりました,お供いたします」
今度こそ,スノウをなんとかしなければならない。
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